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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第四章 北畠顕村、策に嵌る 天正五年(1577)夏
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ヤマノシタ 第三話

 顕村の頭の中は真っ白だ。本名を名乗るわけにはいかない。だからといって、何かを考えてきたわけではない。ついさっきまで酔っていた身の上、義務感とささやかな期待だけでこの場へやってきた。次に襲ったのは恐怖と後悔。ああ、体が小刻みに震えてきた。……ほかの者は気付いていないだろうか。あまり長引かせても……名前ごときで悩むなど、もってのほかだ。





 ひねり出したのは、この名前だった。




「私は、(れい)山王(ざんおう)だ。」






 すべての野郎どもの動きは止まった。全員が、顕村を凝視する。……すると、一人の細身の者が顕村に尋ねた。


「もしかして……あの有名な、大盗賊の。」


 顕村は勢いで続けた。


「そうだ。その霊山王だ。」


 顕村にとってはそのような名の盗賊など知らないし、逆にその名の者がいたことに内心驚いている。……細身の者は吉町に 向きを変えた。


「ではあなたの首領様は、霊山王だったのですね。」


(まか)(なえ)、そうだとも。嘘じゃなかったろ。どこの誰だ。お前が大物に仕えるなどできぬと申した奴は。」



 周りの者は、どっと笑った。


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