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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第四章 北畠顕村、策に嵌る 天正五年(1577)夏
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ヤマノシタ 第二話

 ……内側より、大きな怒号が響く。


「おい、誰かいるのか。」





 (あき)(むら)はその荒々しい声に驚き、次に恐れを抱いた。己の世界とは違う、何か得体のしれぬもの……。もちろんそれは実物だし、現に存在する。この障子の向こう側には下々の世界、それも下のさらに下。高貴の対極、野蛮であり粗雑。


 頭の中にさまざまな想いが駆け巡るが、それもつかの間。(よし)(まち)は内側に向かって声をかける。


()()衛門(えもん)でございます。」




 すると、内側から“入れ入れ”と無数の漢の声が続く。談笑と変わり、障子戸はそちらより開かれた……。


 吉町はとまどう顕村を連れ、末席にて座す。……ここでは御所号や殿下でもない。誰もが平等であり、あるのは勝ち負けのみ。当然だが顕村はそれを理解して名前を隠すつもりだし、出したが最後、野蛮人らの餌食にされるだろう。誰も助けに来てくれない。


 ならばなぜこのような場に来たのか。それは上に立つ者の務め、下々の者はどう思っているのか、直接に聴くことで、本当に必要なものが見えてくるかもしれないからだ……と思いこませた。何かが変わることは絶対だ。なおいっそう強く、心に感じさせる。感じさせることで……恐怖を和らげようとした。





 顕村にとっては突然に、周りの者からしたら落ち着いた頃合いに、とある恰幅のいいごろつきは顕村に問うた。



「お主の名は、なんという。」


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