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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第四章 北畠顕村、策に嵌る 天正五年(1577)夏
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謀の道 第五話


 (あき)(むら)はおぼろげな中にいる。思わずひとつ前の言葉に返した。




(あき)(のり)に言われるだと……それどころか最近は来てくれぬ。」



「忙しい方ですからな。」




 吉町は自分の新しい盃に“山ノ下”を注ぐ。それを片手でぐいっと呑んだ。……これでは強すぎる。強いほうの顕村であれ、これでは悪酔いする。





「のお、吉町……。」



「なんでございましょうや。」





「……月がきれいよのう。」



 吉町も外へ目を向ける。……簾が開かれてこそいるが、川や田畑などしかみえない。北側なので当然だが月も見えるはずもない。だが吉町は“そうですな”といい。顕村の空になった盃に“山ノ下”を注ぐ。




「殿下……。特に気を晴らす必要がおありですな。」




 顕村は黙りこむ。目もつむり、しばらくすると……非常にゆっくりと首を下に傾けた。


「そうじゃ。私は何かせねばならぬ。」





 実はここで吉町は少し戸惑うのだが、顕村にわかるはずがない。自分も落ちた身の上だなと哀しくもなる。そして顕村を誘うのだ。




「では、ある所へお連れいたします。きっと殿下にとっていい機会でしょう。」


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