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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第四章 北畠顕村、策に嵌る 天正五年(1577)夏
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謀の道 第四話

 意識があるのかないのか、空に月があるようにも見える。北向きなのであるはずはないのだが、目に見える幻想の世界には月はまさしくあるのだ。


 ふと気づく。後ろより誰かが近づく。(あき)(むら)はこれまで肘掛に横たえていたが、それを遠くへ押しのけて、体を音する方へ傾けた。そして声をかける。





「おお。……(よし)(まち)か。」


 目をこする。まさしく家臣の吉町だった。眠たそうに欠伸をして、声をどもりながら問うた。



「なぜに、来たのだ。」




 吉町は苦笑しながら、問いに返す。


「殿下がお呼びでしたので、参ったのです。」





 おお……。そうだったか。



 顕村の、機嫌が悪い時には必ず呼ぶ。歳は四十ほどなので父と子ほど離れているが、なにか気が合うものがあったのだろう。




「殿下。また顕範あきのり様に言われますぞ。」


 これまたどもりながら“うるさい”というものの、せっかく吉町が来てくれたので、離れて転がっている肘掛をたぐり寄せて、体を起こしてみる。吉町はというとうるさく言うわけでもなく、顕村の前で胡坐をかき、“山ノ下”の大瓶を片手に持った。これをまじまじと見る。




「ほう……。最近の好みはこれですか。お目が高くていらっしゃる。」


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