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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第一章 松源寺の会見 天正五年(1577)初春
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誘い 第二話

 法堂の縁側、仙桃院せんとういんは池の向こう側より三人が庫裏へ向かっていくのを見た。おそらく彼らは庫裏の寺男に話を通してから、私のところに来るのだろう。……彼らに少しでも梅を眺める余裕があれば、向こう側の彼女に気づいたのかもしれない。

 子供らは三人の姿が見えなくなったとたん、法堂の彼女のもとへ走り出した。こけて未だ泣いている娘は十くらいの年長の男子が背負う。

 ……子供らのすべてが戸惑いを隠せない。彼女は縁側より草履をはいて、子供らのもとへ駆け寄った。そうすると子供らは彼女の裾を掴み、抱き着いたり泣き出したり。そんななか、年長の男子がいう。

 

「あいつら、子供が泣いているってのに、そのままいっちゃった。ひどいよ。」


 他の子供らも頷いている。彼女は優しく諭す。


 「そうよね……。だけど、あの方々はきっとそんな余裕はなかったのよ。あなたたちを嫌って、怖い顔をしているわけじゃないのよ。」


 「だけど、だけど……。」


 うぶな子供ら。純粋な心を持つ。その彼らからしたら、泣いた子供がそばにいれば足を止め、慰めるのが当然。そう、彼女のように。

 すると、向こう側から寺男の一人がやってきた。彼も少し戸惑っているようだが……立っている彼女に寄り、耳元で伝えた。


 「森岡様が、“戌姫いぬひめ様と話がしたい”とのことでいらっしゃっております。ただし……おおやけな使いではないと。」


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