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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第三章 兼平綱則、浪岡を退く 天正五年(1577)梅雨入
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老獪 第二話

 その場にいる者すべてが驚く。まさかあの(あき)(のり)がそのような決断をするとは……。滝本の申し出、ひいては南部につくと宣言したようなものだ。


 滝本(たきもと)も最初こそ驚いたが、すぐに表情をにこやかなものへと戻し、顕範に対しこういった。


「早速、兵の調練を浪岡の者らに受けさせましょう。その家族も重要です。城にこもるとなれば兵と同然、活躍してもらわねば困ります。」




 多田(ただ)は額に右手を当てながらうな垂れた。もう無理だ。浪岡は異なる道を歩む。私はといえば……領地が浪岡より相当離れているため、現実的に同じ動きをするのは不可能。


 そんな中で違和感を残す者が一人。御所の北畠(きたばたけ)(あき)(むら)である。まだ二十二歳で温室育ちの彼に、本音を底に隠しながら言い合うなど想像もつかない。今だって長老の顕範が心より南部に従ったわけではない。滝本の言う“調練”……為信の、それも二倍以上の兵力を打ち破ったその手腕……余すことなく吸い取りたい。いずれ、浪岡が独り立ちするときに生かされる。そこで顕範は滝本へ話す。



「まずは一年、じっくりと兵を強くして頂きたい。次の一年は奥瀬(おくせ)の兵を。浪岡が危うくなったときに動く約束であろう。そちらも強くしてもらわねば困る。」




 滝本も顕範を信用したわけではない。南部嫌いで通っていた顕範の変わりよう……何か裏があるのは当然なわけで、加えて内乱を抑えたこともある実力者。決して侮れない。


 キーワードとなる“一年”の言葉。一年後には何が何でも追い出すぞというメッセージに等しい。


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