表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第三章 兼平綱則、浪岡を退く 天正五年(1577)梅雨入
27/102

老獪 第一話

 滝本(たきもと)に次いで、水谷(みずたに)は別の者らに問う。彼らは愛想笑いをしなかった。


菊池(きくち)殿、朝日(あさひ)殿。あなたがたはどのようにお考えで。」



 思わず二人は慌ててしまったが、一応は落ち着いているかのように振る舞おうとする。ちらちらと御所の(あき)(むら)や長老の(あき)(のり)の方を見つつ。


「私どもとしては、御所の一存に従うのみでございます。」



 水谷はさらにほかの者にも問う。


補佐(ほさ)殿はどうです。」



 補佐は浪岡北畠家中に珍しく武骨な人物で、でしゃばって話すことなど一切ない。あまり人付き合いはよろしくないが周りも彼を認めていることもあり、のけ者にするようなこともなかった。その補佐が口を開いた。



「……同じく、決まりしことに従う。」




 水谷は頷き、滝本は笑みを漏らした。多田(ただ)はさらに青ざめ、あとは長老の顕範がどう出るかである。顕範は当初からだまったままで、腕を組んで口を開かない。何を考えているのかわからぬが、最後の抵抗の要となるのは彼しかいない。浪岡の独立独歩を唱えた彼ならば、きっと滝本に対して異を唱えるだろう。多田にとっては不本意だが、一つに決まりかけているこの場を乱してくれることに期待した。




 しかし、顕範の言葉は多田を裏切る。



「それで滝本殿。兵の訓練を早速だが明日からやってくれぬか。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ