表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第三章 兼平綱則、浪岡を退く 天正五年(1577)梅雨入
24/102

向かう先 第三話


 滝本は腹から大きな声で、威勢よくのたまう。




「このたびは北畠御当主、浪岡(なみおか)式部(しきぶ)(あき)(むら)様にお目通り叶い、恐悦至極にてございます。」



 顕村はとりあえず笑顔で返す。

「滝本殿、ごくろう。貴殿の武勇知略ともに秀でること、この浪岡にも聞こえておる。」


「お褒めいただき、光栄でございます。」


 ……ここまで、想定しうる問答だ。どのタイミングで事が一気に進むのか。この会話のあとすぐに言葉は途絶え、この場にいるすべての人間は互いに様子を窺う。







 非常に長く感じる。実際は十分程度の沈黙だったろうが、小一時間も経ったかのようだ。




 静けさが苦痛になる。……再び会話を始めたのは両脇の上座側、多田の対極に座す水谷であった。


「……元をただすと浪岡北畠は南部氏に助けられた一族。そうよのう、滝本殿。」


 滝本は横を向き、笑顔で返す。

「そうですな。私もそのように承っております。」



「伊達の霊山(れいざん)城から逃れ閉伊(へい)の片田舎に隠れ住んでいたところを、南部の殿様が浪岡という開けたところへお移しになられた。」




 ……互いに本音を出すことのない、この場で出そうものなら負けとなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ