表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第二章 森岡信治葬儀 天正五年(1577)桜時
19/102

揺れる笹と竜胆 第三話


 多田(ただ)は語る。


「先の浪岡での戦のこと……川原(かわはら)御所(ごしょ)の一族が誅せられたことは存じておろう。」



 それはもちろん兼平(かねひら)も知っている。永禄五年(1562)なので、十五年も前の出来事。弟が兄の家を討ち、その混乱をおさめたのが浪岡北畠一門の長老、(きた)(ばたけ)(あき)(のり)である。当時残された御子は今や成長し、御所の(きた)(ばたけ)(あき)(むら)となった。


「実はの……長老は川原の子も拾っていたのだ。“反乱の首謀者の子ではあるが、同じ北畠の血を継ぐ者。育てて浪岡の忠臣とすべし”と。」


 兼平は問うた。

「……ということは、子の水谷(みずたに)(とし)(あき)は北畠の血筋か。」


 多田は頷いた。そして恐る恐る口を開く。


「……滝本殿は言った。いずれ為信は北畠の血を根絶やしにするつもりだと。最初はいい顔をしているかもしれぬが、中央の様子を見てみよと。織田信長は浪岡の主家筋である伊勢(いせ)北畠(きたばたけ)を滅ぼしたではないかと。」


「あれとは話が違うだろうが。確かに伊勢北畠はそのような道を歩んだかもしれぬが、浪岡はそうはならぬ。我ら主君はそのように考えてはおらぬし、そこは私兼平が保証する。」




多田は顔を下に向ける。


「……確かにあなたは、真人間だと思う。接してきて十分にわかる。」



 ……戻らぬ多田を探して、誰かがうろついている。これはまずいと兼平は後で話そうと無理やり約束し、すぐにその場より退散した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ