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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
最終章 水木御所成立 天正六年(1578)秋
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宿命 第四話

 そして“期待通り”忠臣となった。だからこそ今なお抵抗を続けている。川原御所の忘れ形見、水谷(みずたに)(とし)(あき)。十六歳の若き御子。浪岡北畠家中でも真相を知る者は(まれ)で、兼平が思いつく人物は()目内(つめない)多田(ただ)(ひで)(つな)のみ。しかもその息子の玄蕃げんばにすらも伝えられていない極秘中の極秘。玄蕃と利顕は互いに親友というべき存在らしいが、利顕自身も明かさなかったのか、もしくは本人も知らないのか。


 馬を勢いよくけしかけたので、一刻も経たぬうちに水木(みずき)へ到着。乳井(にゅうい)勢五百は松明を大いに焚き、大雨で消えさせることのないように油を大いに注ぎつつ、じっくりと水木館への包囲を続けている。“……間に合ったか”と兼平は安堵しつつ、急ぎ天幕下の乳井へ駆け寄った。





「なにも周りに敵はおらぬのですから、わざわざ夜に戦を仕掛ける道理はありませぬ。」



 当たり前のことを当たり前のように言われた。乳井は不思議そうに兼平の顔を覗くが、兼平は乳井の表情お構いなしに、仔細を余すことなく伝えた。……利顕が北畠の血筋だということも。

 そうであるならば話が違う。すでに殿にはお話になられましたかと乳井。いやまだだと兼平。急ぎ他の者に大浦城へ使いを送ってくれと頼み、床几(しょうぎ)(野外用の腰かけ)へと力を落として座した。これで何とかなった……だがこのまま抵抗を続けるならば、結局のところ同じである。


 では誰に説得をやらせるか。最後通牒も断っているのだぞ……。思いつくはただ一人。三々目内の多田を引っ張り出すしかない。彼に津軽家の命運はかかっている。


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