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その、二つ名で呼ばないで

作者: 時川

訪問して頂きありがとうございます。

連載終了記念に短編あげます。

およそ100年前、この世界には四つの国があった。四つの国は、戦争になり、中でも一番小さな国であったグランがこの世界を治めることとなった。その小さなグラン国には、鬼神と崇められた英雄がいた。人は、その鬼神の二つ名を、白銀の龍と呼び、その武勇伝は、今現在も世界中に語り継がれている


ただ、グランが統治する世界でも、多少の内乱がおこっていないわけではない。だが、白銀の子孫が影、日向となりグラン国を支えていた


「シルビア・フィリル・スカイ。お前との婚約を破棄する。お前とは、結婚しない」


グランの王城に建つ大聖堂で、宣言をしたのは、金色の髪、碧い瞳、細身で長身の彼は、美しいの一言で、すませることの出来ない、大国グランの王太子、アーロン・ソレイル・グランドである


「承知しましたわ」


アーロンの隣に立ち、白髪で色白、瞳は、赤く輝いている長身で壮麗な少女が冷徹の微笑みで、是の返事をすると、その場にいた、王、王妃、宰相、将軍、グランの各領土を治める貴族達が、息をのんだ


「今更、何を申しても、私は、そこにいるクレアを愛している。クレア、こちらへ…。拒否した所で、お前の…」


「ですから、承知しました。とお返事申しあげました」


王太子に呼ばれて、端の方で控えていたシルビアとまったく違うタイプの少女…ふわりとしたアッシュブロンドの髪、セピアな瞳、小柄で保護欲をかきたてる少女が侍女服で、立っていた。王太子は、その少女の腰に手を回し、自分と密着させ、少女をシルビアから守るようにしていた。悦に入った様な、そんな王太子が言葉を続けたが、その言葉を遮るように、シルビアは、相変わらずの微笑みで、嫉妬の『し』さえも感じない。それをやっと理解したであろう王子は、思わず疑問の声をあげた


「は?」


「もうわたくしは、下がらせていただいてもよろしいですか?婚約が破棄になったと言うことは、この結婚式も執り行わないと言うことですわよね?使用人がいるとはいえ、一人で留守番をしている義理弟クライが心配なのです。結婚式を執り行うため、王城に呼ばれて七日間…。なぜ、この結婚式の前に婚約を破棄してくださらなかったのですか?…。まぁ、いまさら申してあげても仕方ございませんが…」


シルビアがちらりと、自分の列席者の方を見る。自分の列席者は、義理の父である宰相ティルスと、その妻セリーナ。兄である次期宰相の呼び声高いロイドだ


何故、義理かというと、シルビアの父と母は、シルビアが生まれてほどない頃、不慮の事故でなくなってしまったのだ。シルビアの父と義理父ティルスは、兄弟で、シルビアの父のほうが、兄だった。義理父一家は、兄夫婦が亡くなったことをきき、実家にかえり、この先の事を話あった結果、長男夫婦を亡くした祖父母にシルビアをまかせようという話に落ち着き、一月に2度ほど、シルビアと義理父一家との交流をもっていた。祖父母にきちんと教育されて育ったシルビアは、どこに出しても恥ずかしくない淑女になっていた

そして、シルビアの婚約が決まった2年前。祖父母が老衰で相次いで亡くなったため、義理父一家がシルビアを正式に自分たちの娘に迎え入れたのだった


宰相様おとうさま。国王陛下への発言、お許しをいただけますか?」


不敬に当たるといけないと思ったシルビアが念のため、義理父に伺いをたてた


「よい。申せ。」


その、心地いい低い声は、国王陛下のものだった。声をかけようと思っていた宰相《義理父》は、少し目を見開いていた


「…お許し頂き、ありがとうございます。陛下。今回の婚姻、成されなかったこと、誠に申し訳ありません。私の至らなかったものは、殿下がお認めになったお嬢様がお持ちなのでしょう。私は、義理母ははと共に王都を離れ、故郷であるスカイ領に戻りますが、殿下が私をお認めになられなかった事《至らない原因》は、義理父ちちや、義理兄あに、ましてや、義理母はは義理弟おとうととは関係ございません。ご承知おきいただければと思います」


「わかっておる。今回の事で、スカイ領はもちろんの事、そなたにも咎めたてはせぬ」


「何故ですかっ!父上っ!その女はっ…。」


「黙れ!馬鹿者!…皆のもの、見苦しいところを見せた。今回このような残念な結果になったが、今後とも、グラン国を支えてほしい」


国王が頭をさげる。もちろん、そのような事は本来であれば、あってはならない事だ。だが、今日、行おうとしていた婚姻は、この国の歴史をしっかり学び、理解していた者にとって、なんの不思議もない行動であった。ただ、本当の意味で、理解していない王太子にとっては、国王の行動が、異様なものとして目に写る


「父上!何故頭をさげておられるのですか!そのようなっ…」


「黙れというのが、まだわからんかっ!マルス!衛兵を指揮し、アーロンを自室へ連れていけ!そこの侍女は、女官長の部屋へ!」


王に呼ばれた将軍は、衛兵に指示をだし、行動した。その間も王太子は、王に対し、自分の言葉を聞くよう叫んでいた。王太子の隣にはべっていた侍女は、ひたすら王太子の名前を叫んでいた


「さて…。すまなかったな。シルビア。本来であれば、あいつ自ら、この婚姻の意味にたどりつかなくては、為らなかったのに…。鬼神の血を色濃くひくそなたとの婚姻を、王家が望んでいたのに…」


「いえ…。お爺様の血をひく義理父様おとうさまと、義理兄様おにいさまが今後も王家を支えます。義理弟おとうとも、文の道に進むか、武の道に進むか…まだ先は見えませんが、どちらにしろ、私が誠心誠意、鍛えます」


王とシルビアの話し合いが終わり、シルビアと義理母は、義理父と義理兄の部屋にいき、荷物をまとめた。

義理母が熱烈な別れを義理父としているのを義理兄とあきれた表情でみていたシルビアのもとに、シルビアほどには白髪ではないし、色白でもないが、瞳の色が同じ色をした背の高い見目麗しい青年がやってきた


「よっ。残念だったな」


「…フロイ再従兄様おにいさま。…全然残念そうな声色じゃありませんわよ?」


「だから、俺にしておけっていっただろ?」


不適な笑みをこぼして、シルビアを見つめているのは、将軍の息子であるフロイだ


「お前、本気か?」


呆れたように、義理兄がフロイに問い掛ける


「もちろん。俺は、本気じゃなきゃ、口説かないし、身代わりで二つ名を、名のることなんかしねーよ。王太子アーロンは、調べることすらしなかったみたいだけどな」


「…その話は、やめて下さい」


「なんでだよ。いいじゃねーか。白銀の鳳凰。カッコいいぜ」


「…お願いですから、その二つ名で呼ばないで」


「なら、俺と?」


恨みがましい目線で、シルビアはフロイをみつめる。フロイは、満足そうに微笑んでいる


1年後…白銀の双璧と呼ばれるようになる二人がいた


その二人は、一人は鬼神の直系の孫であり、鬼神の血を色濃くついでいる白銀の鳳凰とも称される少女。もう一人は、鬼神の妹の孫であり、この国の将軍の子、白銀の天馬とも称される青年


その二人は、常に行動をともにし、お互いがお互いを信頼し、あっていたとのことである


その二人の間に愛が芽生えるのは、もう少し先の話だーー

























もうひとつの連載が途中でとまったままですが、ちまちま書いています。


気長に待っていただければ幸いです。


そして、私のマイぺには、埋もれている駄文がやまもっています。日の目を見る日は、来るのでしょうか…。


書きたい話は、色々あるのですが、時間がなさすぎ…。

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[良い点] 婚約破棄されても、堂々と自分で立っている女性は好きです。しかも、戦ったら強いだなんてもう好物です。 戦う乙女、ステキです。 [気になる点] お爺様から続く、世界から見ても優れた血筋を王家に…
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