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エピローグ

 カンカン、とキルトワの別荘のドアノックを叩く音に出てきたのはコニーだ。

 コニーは訪問客が誰かを知り、満面の笑みを浮かべ膝を曲げる。


「ナディア様、お待ちしておりました」

「しばらくよろしくね」

 と、お腹を擦りながら微笑む。

 細身で目立っていないが、彼女は妊娠六ヶ月だ。

 こちらで出産するためにやってきた。


 首を巡らせながら

「ステラは? 今日はいないの?」

と尋ねる。

「いえ、それが……」

 コニーは苦笑いをしつつ、視線を外の小さな小屋に移す。


 あれからステラはレノンと結婚した。

 レノンは森からこちらの別荘に住まいを移動させて、新婚生活と仕事をすることにしたのだ。

 ただ、薬術師という仕事柄、多種多様な薬品や薬草を扱うし、秘密の地下室も必要だということで仕事部屋は別荘の隣に新しく建てたわけだが……

「そちらの仕事部屋に、レノン様とご一緒に住まわれてしまって……」

「あら、まあ。でも、仲が良くて結構なことだわ」

 そう笑うと、ナディアはまた愛しげにお腹を擦る。

「じゃあ、ご挨拶がてらにそちらに顔を出して、お茶にお誘いしてみるわ」

「では、お茶の用意をしてきます」

 コニーはまたナディアに一礼すると、早足で台所へ向かった。


 丸太小屋の素朴で小さな仕事部屋。

 そこはレノンとステラの愛の巣になっていた。


 ナディアは扉の前までくるとかしこまり、ドアノックを掴むとカンカン、と叩いて音を鳴らす。

 すると中から「はーい」とステラの明るい返事とともに足音が聞こえる。

 その声の調子から、順風万風の夫婦生活を送っているのだと彼女も嬉しくなる。

 愛しい旦那様の可愛い妹だ。

 ナディアも彼女のことが大好きだ。

 大好きな人が幸せだと、自分も幸せに感じる。


「ステラ、私よ。ナディアよ」

「お義姉様! レノン、ナディアお義姉様よ。今開けますね!」


 


 元気いっぱいに開いた扉の先には、喜びに笑みを浮かべるステラがいた――










(終)



無事、完結しました。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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