異なる世界
「・・・・・・・か・・・・」
「お・・・だいじょ・・か・・・・!」
体を揺すられ青年は意識を取り戻す。
「おい!!大丈夫か!!」
「はいぃ!!……すいません!!」
野太い大きな声にとっさに謝ってしまう
「よかった、気がついたようだな」
目を覚まし周囲を見た青年は唖然となる。
思い出せるのは確か駐輪場にいて少女に話しかけられた所迄でどうしてこの場所にいるのか思い出せない
「ここは………どこですか?」
見渡す限りの木々に困惑しながらたずねると
「ここはラシェード王国の東にあるレオニールの森ってんだか、おめぇさんの格好を見ると冒険者じゃ無さそうだし、どこから来たかは覚えているかい?」
「ラシェード王国?レオニールの森?日本じゃないんですか!?」
「ニホン?聞いたことがないな、どこの国かわかるかい?」
「いや………日本って国なんですが・・・知らないんですか?」
「聞いたことねぇな。俺も昔は冒険者だったがそんな国は聞いたこともねぇ………」
「そんなはずは!………いや、すいません………」
意識を失ってた所を助けてくれた相手に声を荒だててしまい咄嗟に謝罪をする。
「っと…そう言えば名前を聞いてなかったな、俺はこの辺りでハンターをしてるアルドって言うんだがおめぇさんは?」
「名前………あれ?……」
青年はいくら考えこんでも名前を思い出せ無い事をアルドに言うと
「そうかい、名前が思い出せねぇか。
しかし、名前を覚えてねぇってこたぁ無いのと変わりゃしねぇな」
青年は少し考え込むと
「それじゃぁ レオニスって呼んでください」
「名前を思い出せたのか?」
「いや~いくら考えても思い出せないものは思い出せ無いんで」
「………くっ…ハーハッハッ………そりゃそうだ!無くしたものを、くよくよ考えたってしゃーねーわな!
それに、おめぇさんはまだ若いんだ、いつか名前を思い出すかもしれねぇしな。」
「思い出せたならそれはその時考えます」
「それでおめぇさんどうしてレオニスにしたんだ?」
「あ~思いつきってゆうか、安直なんだけどこの森の名前をもらいました、なんか響きもいいかな~って」
そこでアルドもしばし考えこむと
「そうだな……確かに安直だが、いい名前じゃねーか」
そう言いながらアルドはレオニスの頭を少し乱暴ながらもガシガシと撫でた
「おっとすまねぇな」
アルドはそう言いながら名残惜しそうにその手を離すと
「レオニス……これから、どうするんだ?」
「これからですか?」
「おめぇ記憶が曖昧なんだろ?もうじき暗くなるし、行くあてはあるのか?」
「……行くあては……無いです。」
レオニスはそう言うとアルドは笑いながら
「んな事だろうとおもったぜ!どうだ?ここであったのも何かの縁だ!俺の家にくるか?」
「え?……いいんですか?」
「いいも悪いもこんな所にお前さんおいといたら、すぐに魔獣の餌なっちまうしな」
アルドは豪快に笑いながらそう言うと
「その代わり俺の仕事も手伝ってもらうがな!」
それからアルドは青年にこの辺りの事を話ながら罠を仕掛けた場所に向かった。
しばらく森の中のを歩いているとアルドは立ち止まり、あたりを見渡しだした
「もうすぐで罠を仕掛けた場所に……」
「グゥルルルルッッッッ!!ガァァァ!!!」
アルドの声は突然聞こえてきた獣の咆哮にかきけされた
「ぼさっとするな!かくれろ!」
そしてレオニスは視線の先で荒ぶる2匹を見て、この世界が自分のいた世界と根本的に違う事を思い知らされた。