1日目、 物資確保
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次は目指せ300ポイント!がんばれ俺!
悲鳴と怒号、意味を持たない呻き声が
池袋駅東口方面はゾンビ出現でパニックに陥っていた。
周辺の道路はいつもの何倍もある自動車で埋め尽くされている。
ゾンビが出現した方向から走って逃げてきた少年は池袋駅前の大通りの横断歩道を同じ西口側へ逃げる
そこに渋滞で並ぶ車と車の間を縫うよう駆けるバイクが赤信号もお構いなしに群衆の中を突っ切ろうとして––––、衝突音が響く。
バイクのライダーと少年は数メートル先まで衝突でアスファルトに叩きつけられる。
ライダーと少年は数メートル先まで飛ばされ、
事故の瞬間を目撃した人々はそんな彼らを助ける気など毛頭ない。
「たず……け…て」
小さく助けを求める、倒れたままの2人をまるで存在しないかのように真横を、あるいは踏んだことも気付かぬまま人々は無心に走る。
今の状況ではどうせ助けても救急や警察へ通報しようにも回線がパンクして繋がりもしないし、誰ひとりとして2人を介抱する余裕もないからだ。
後ろからは恐怖が追いかけてくる。
優しさとか礼儀正しさが売りの日本人の人格も、逃げる人々からは欠片も無く吹き飛んでいる。全員が自分あるいは大切な家族が助かることにしか思考に無いからだ。
さて、こんな状況になった池袋で生き残るための物を手に入れるために池袋周辺でならどこに行けばいいか–––。
百貨店?電気屋?駅?学校?広域避難場所?スーパー?
いや、違う。俺が出した答えは池袋駅東口の南側にある、とあるディスカウントストアだ。
鉄柵や金網などの頑丈なバリケードはない。
しかし、ここなら食料品、シューズや洋服、日用消耗品、電化製品、工具まで多種多様の商品が揃っているからだ。
俺と未来は店内に入ろうとする。しかしディスカウントストアにたった1つしかない出入り口は店内から出ようとする人が殺到している。
「ゾンビ出たらしいぞ。すぐに逃げよう!」
「邪魔だ!俺が先だ」
「無理矢理割り込むんじゃねえ!」
「押さないで、痛い!」
我先に出ようとする人たちは罵声をあげる。
店内から出た人は一目散に池袋駅へと向かう。恐らくは池袋駅の西側へ行くつもりなのだろう。
どうやら店内に立て籠もるという手段を考えている人はほとんどいないようだ。
だからこそ、それを利用する。
未来の手を繋いだまま、人の波に逆らうように店内に入ることができた俺はこれからどうすべきか考えた。
この緊急事態で、まず調達したいものは食料だ。それらは地下階にある。
池袋に出現したゾンビの歩行速度は遅いため、数分であれば地下の食料品売り場に行けるかもしれない。
地下階へは店内の奥にある階段、唯一つ。
もし上の階へ行くのが遅れたらーーーと考えれば、2人一緒に行くのはリスクが高い。
ならばと俺は未来に指示を出す。
「俺は食料と飲み物を調達してくる!
未来は3階に行ってボストンキャリーバッグとかの大きな鞄を選んで、2階の階段付近で待機してくれ!」
「え……う、うん。分かった!」
俺から出された突然の指示に戸惑いつつも未来は2階へ向かう階段を登る。それを確認すると俺はレジにある買い物かごを左右の手に1つずつ持ち、地下階へと繋がる階段を駆け下りた。
食料品売り場は人がいなかった。
売り場からは音一つしない。
食料品を盗る人は少なかったようで売り場から何もかもが消えるなんてことにはなっていない。
それを確認すると俺は行動を開始する。
まずは冷静にーーー、
肉、魚などの生モノは腐りやすいため却下。
缶詰、レトルト、携行、パンなどの食料・飲料水を1週間分×2人分の容量を詰める必要がある。
持ち運べる重さ・個数、どれほど日持ちするのか、カロリー、栄養などを考慮し、慎重にかつ迅速に品物を選んで籠の中にぶち込もうと考え、棚を見回す。
…………ない?
俺は目の前に陳列された品々を凝視する。
目を擦る。
いやいや、錯覚だと思い目を閉じて再び開けて2度見する。
そう、俺が欲していたモノが、その棚には無かったのだ。
俺が欲していた飲み物と菓子以外には。
たっぷり10秒も費やしてそれを認識した俺は激昂した。
「ふっざけんなァァァァァッ!」
誰もいない空間に俺の心の底から発された絶叫が響き渡る。それは誰の鼓膜に届くことなく霧散する。
俺はここにはよく来るが、地下の食品売り場には1度も行ったことがなく、どんな品々があるのかすら把握していなかった。
しかし、よく考えればすぐに分かったはずだ。
ここが食品売り場だとしても、住宅なんて見当たらないビルが林立する池袋駅東口で米や肉類を取り扱っても儲からないからそんな食料は置いてないことに。
「畜生めぇぇぇぇぇぇぇっ!」
某動画サイトで有名な総統閣下の名セリフを口にしながら、逆ギレ上等。ドリンクや菓子を片っ端から詰め込んでいく。
急いで詰め込んでいるつもりでも時間は2分、3分と長くなっていく。それと同時に俺の額から嫌な汗が出る。
ゾンビの店内侵入まであとどれくらいの余裕があるだろうか。
地下からは地上の様子は窺い知れない。そのためいつ店内にゾンビが侵入してくるかーーー、見えない恐怖に襲われるのだ。
もし2階へ向かうのが遅くなれば、逃げ道の無い地下階にゾンビが雪崩れ込み、俺はあっという間に死者の仲間入りだ。
最悪のシナリオを考えてしまいそうになった俺は余計な思考を頭から引き離す。
マイナスな考え方は良くない事を呼び込んでしまう。
今は早く揃えることに集中しろ!と揺らいでいる自分の心にムチを打つ。
4分後、必要そうな物を全て入れ終わった俺は、ずっしりと重くなったかごを持ち、階段を3段飛ばしで駆け上がる。
–––間に合えッ!!!
そう念じながら1階に到着する。
商品棚の影からこっそりと出口へと繋がる通路を見る。
ゾンビの姿は見えない。ゾンビの呻き声も聞こえないし、何かがいるような気配も感じられない。
1階奥にはまだゾンビはいないようだ。
俺は小さく胸を撫で下ろしたくなったが、油断はできない。
店内の2階へと上がる階段は店の出入り口からすぐのところにあり、ゾンビが入り始めていればゲームオーバーなのだ。
俺は確認を済ませると同時に久しぶりの全力疾走で通路を駆け、階段付近まで10秒で辿り着いた。
だが、店内の入り口から3体ほどの侵入し始めていた。
そのうちの2体は運悪く、階段の目の前に立ちはだかっている。
2体のゾンビは俺の出現に気づいたようでゆっくりとこちらへ歩き出した。
「くそッ!」
辺りに武器になりそうな物を探す。
それはすぐに見つかった。
俺はかごを床に置くとーーーー、レジ付近にあった売り物の傘を逆手に取り、1番手前にいた青年ゾンビの頭へ渾身のフルスイングをお見舞いする。
「せいっ!」
バキッ!という鈍い音とともに、傘で殴り飛ばされたゾンビは後ろにいたゾンビも巻き添えにして倒れた。
「ンガァ………ウウゥゥアアァァ…」
普通なら悲鳴を上げて痛みに苦しむところだ。しかしどうやらゾンビには痛覚が無いようで、痛がる素振りも見せない。
殴る程度では効果が全くないということだ。ならやはり殺さないとダメなのか?
いやーー、今はそんなことどうでもいい。
いちいち足を止めてはいられない。殺すのは後回しだ。
起き上がり始めたゾンビを横目に階段を駆け昇る。
2階が見えると同時に俺の名を呼ぶ声がする。
声をあげたのはーーー、未来だ。
かなり心配してくれていたようで俺の姿を確認すると、安堵の息を漏らし今にも泣きそうな顔で見つめる。
「悪りい、遅くなった」
「怪我はない?」
「ああ、大丈夫だ」
未来はボストンキャリーとウェストポーチ、リュックサックをそれぞれ1つずつ持ってきていた。
俺が食料品を大量を持ってくると予測していたのだろう。
気がきくのが未来の良いところだ。
「さ、急いでバッグに入れんぞ。時間がねえ!」
「うん」
2人でそれらの中に食料・ペットボトルを急いで詰め込む。
俺はチラリと階段から1階を覗いた。
1階には気色の悪い呻き声を出すゾンビが大量に侵入していた。
ゾンビに階段上がる知恵が無いといいな…。
そう思いつつ、俺は重くなったボストンキャリーとウェストポーチを、未来はリュックサックを背負う。
「よし、上へ行くぞ!」
「うん!」
再びお互いの手を固く握り締めて、俺と未来はさらに上へと駆け上がった。
5話を読んでいただき、ありがとうございます。
今週、池袋駅東口のドン・キ◯ーテに取材に行ってきました!やはり品物が多くて良いですね。武器になりそうな物もたくさんありますし(^ _^)b
がっ◯うぐらしに出てくるようなシャベルは無いですけど……(・_・;)
がっこうぐらしのゾンビって倒すの楽そうですよね。でも、この小説のゾンビはそんなには甘くない!次第に強いの登場するし
次回は11/27までには投稿できるようにします。予告無く遅れることがありますのでご了承ください。




