5・6日目、最悪の再会(貴士サイド)
☆がんばって1日に2話投稿に初・成功しました!☆
感想や評価・ブクマお願いしまーす!
野球ボールのように投げ飛ばされた投擲用のナイフは、狙いは寸分違わず30メートル先にいたおばさんゾンビの脳みそに突き刺さる。
「ァウァァ・・・・」
一瞬の断末魔のあと、ナイフの勢いに逆らえずに横へ倒れる。
俺はなんの罪悪感も感じないままおばさんの元へ近づく。
「これで、50・・・・何体だっけ?まあいいや」
完全に動かなくなったのを確認して、サッとナイフを抜く。
どうやらゾンビの脳内はすでに腐っているようで、アスファルト道路に血だまりが広がることはない。
ふう、とため息を出しながらスポーツ用メガネを外す。その途端に俺の視界はぼやけ、手元にあるナイフくらいしか視認できなくなる。
「全く・・・・、いちいちかけなきゃいけねえのが面倒だな」
この世界のゾンビはどうやら目が悪いらしく、まるで目を無くしたかのようにフラフラと歩く。
恐らく5メートル以内にあるものでもハッキリと視認するのは難しく、ぼんやりとしか見えないのだろう。これじゃまるで人間の近視と同じだ。
知性がほとんどない、この世界のゾンビは両手を前に突き出しながら人間を追っていたよく見えないのでは人間を掴み損ねる。代わりに手と聴覚を補助センサーとし、触れたら即捕まえるというパターンなのだろう。
しかし、なぜか俺にはその障害が無い。おまけに知性のある俺は普通のゾンビのように探るための手を出す必要はない。
戦闘中や休憩時に気付いたことは、視覚以外にもある。
あのおっさんのナイフを触ってみた時に手に触れた感覚、つまり触覚が鈍くなっているのに気付いた。嗅覚・味覚も人間だった時よりも少し鈍くなっているようで、近くにあったファーストフード店に行って実験してみたら、製作途中だったのだろう腐ったハンバーグの匂いがあまりキツいと感じることは無くかった。また、腐っていないオレンジジュースを飲んでみるとオレンジ味だとあまり認識できなくなっていたのだ。
その反面、聴覚は動物並みに強化されているようで、今もずっと遠くにある音や微細な音も聞くことができる。
さらに脚力や腕力も倍増されていて、ナイフを投げれば、銃弾のごときスピードで30メートル先まで飛ばせたし、脚だけでビルの3階に登ることもできた。まるで木登りする猿だ。
と、まあ変化に気付いたのはこれくらいだ。
視覚が変化したとは言え、眼鏡をかけるのはあんまり好きではない俺だが、見えないのでは仕方がない。
戦闘が終わった今は遠くを見る必要性が無いので外して、ポケットに突っ込み、ナイフはベルトに挟んおく。
そして、空いた両手で40から60キロはありそうな、ばあさんゾンビを軽々と持ち上げて移動する。
しばらく歩くと、あの交差点の北側に山が見える。
ただの山じゃない。
俺が狩った50体以上のゾンビを積み上げているうちにできてしまったごみ溜めのような山だ。
そんな山にまた一体、ばあさんを上から乗っける。
・・・・・これじゃ俺、死体回収屋と同じだよな。
まあ、誰も見てないからいいけど。
1日がかりになってしまったが、これで周辺のゾンビはほとんど駆除できただろう。
建物内にいるゾンビは探すのも面倒くさいから放置しておいている。
あとで邪魔になったら始末すればいい。
あとは未来たちが出てくるのを待つだけだ。
俺は西へ陽が沈むのを見ながら、胡坐をかいて山の頂上で待ち続けた。
**************
・・・・・・遅ぇなあ。
睡眠を必要としないゾンビの俺は17時間も頂上で待ち続けている。
だが、未来たちはまだ来ない。
今はちょうど昼頃。
真夏の昼だと陽炎ができるが、今日はどんよりとした曇り空で気温もそんなに上がっていない。
あの時から何日経ったか把握できていないが、もうそろそろバッグに詰めていた食料も尽きてしまっているはずだが、未来たちは一向に出てくる気配がない。
「・・・・・まさか、集団自決とかしてねえだろうな?」
そんな嫌な考えが俺の中をよぎるが、ゾンビの力によって聴力がブーストされた俺の耳が、遠くにある工場の扉が小さく開く音と静かに歩く足音を捉える。
「…ようやくお出ましか」
そのまま3分ほど待っていると、俺のいる大通りに面している鋼鉄の門が少し開けられる。
そこから出てきたのは、あのグループのリーダーっぽい爽やかな少年。
その次に出てきたのは何日ぶりかの–––、多少痩せてしまってはいるがまだ生きている未来。恐らく俺が死んでしまったと思っているはずだが、彼女の瞳から以前よりも強い意思を感じる。生きることを諦めていないことだけは確かなようだ。
そして残りのメンバーが出てくる。
あの時見たメンバー全員が生きている。
彼らの動きを見ていると、どうやら一致団結できているのが分かった。
門から出て6人は歩き出し、交差点の少し手前で最初に未来が俺の存在に気付く。
未来が俺へと指を向けると、釣られて彼らも俺のほうを見つめる。
その未来の瞳は・・・・震えている。
そして未来の唇から「たかしくんなの?」と呟かれるのが、今の俺には聞こえた。
俺はそれに肯定はしない。
どう答えればいいのか分からない。
だが、こんな姿になっても俺だと判ってくれるのが嬉しくて、少しだけニヤリと笑う。
おっと血が垂れてる。袖でフキフキ。
普通なら感動の再会だろうが、俺がゾンビとなってしまった今はあまりうれしくない再会だろう。
さて、どうするかね・・・・・、と考えているとまたしても邪魔が入る。
未来たちがいる交差点の左右からゾンビが現れたのだ。合計7体。
出現はリーダーの少年も同時に気付いたようだ。
未来たちの足音を聞きつけたか・・・・。
「チッ!」
舌打ちすると俺は、脚力任せに山の頂上から上空へジャンプした。
11話を読んでくださり、ありがとうございます。りっきーです。
次回の内容は未定ですが、数日で書き終えるようにします。と10話に書きましたが、まさかその日のうちに11話書き終わるとは思ってなかったです(笑)
学校がないので、比較的サクサクと執筆が進むようになりました。
次回はどこまで書くか分かりませんが、戦闘シーン少し入れる予定です。
前書きの通り、感想やブクマ、評価をお待ちしてまーす!




