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青い

作者: 中村優希

今日は空が青いなぁ


僕は言った。

それは高校をずる休みした日の事だった。僕はちゃんと学校へ行ってちゃんと授業を受けて昼休みは

友達とバカを言いながら笑う、ごく普通の男子高校生だった。

その日は秋の冷たい空気が空をカラッと乾かしたような、そんな快晴だった。

いつもなら目覚めは冷気によってくっきりと区切りをつけられ目がすっきりと覚める朝の

はずだった。いや、その日もそんな朝だった。


ただ布団をどけて、コップに水をとぽとぽと注ぎ、ガラガラとうがいをする、いつも通りのルーティーン

をした、あと。その直後。家の階段の踊り場から見た空は果てしなく高く青かった。


2、3秒立ち止まった

はぁぁ、といつもよりちょっと長いため息を吐き


頭を痛そうに垂れながらキッチンへ向かった。そ、仮病だ。

親に学校へ体調不良と連絡してもらい、ベッドに戻った。


その日はいつもより楽しいと思った。

親が仕事に行って誰もいない家。溜めておいた録画を片っ端から消化しながら片方ではゲーム、片方では

スナック菓子を食べていた。飲み物が無くなったので、飲み物を買いに家のすぐ前にあるコンビニへ行った。道中では寒いながらも燦々と輝いている太陽が恨めしくなった。というか、嫉妬に近いものを感じた。

さすがの僕もパーカーのフードを被った。

コンビニではみんなには言えない秘密の趣味である、アニメのフィギュアを全種類一気に買った。

コレは気分が爽快だった。お昼はカップ焼きそばを食べて、そこからアニメを見続けた。

液晶を4時間ぶっ続けで見るのは疲れたので、蒸気でポッとアイマスクをしてみた。楽園だった。


午後の4時になると、良い天気のせいか綺麗な夕日が街を照らした。恨めしい。


親の仕事は遅番だった。12時まで僕の時間だ。空気の入れ替えに開けた窓からは月光と共に見たことのない星空が飛び込んできた。恨めしい。


次の朝、頑張って学校に行った。普通に友達とは楽しく話せた。

だが、先にやってある予習、範囲をもしらない課題が友達のノートに書いてあった。


「あ、お前昨日休んだんだったな」


と言って、ノートを貸してくれた。その間、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


隣の芝生は青い


うちは1日でこんなに伸びちゃって草刈りも大変だよ


時間は待ってくれない、ましてや学生の時の時間など刹那に過ぎ去るのだ。


自分の顔がどれほど青ざめていたか、自分に聞いてみた。


「裏の顔は青かった、ただ表の顔はもっと青かった」

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