1-64 平穏
「かえで…………」
俺は泣きながら話した。
「俺は取り返しのつかない事をした。あの時はたとえ姉さんの言うことでも聞いてはいけない事だったんだ!」
楓も泣いていた。
「でも君がそうしなければ今ここにいることはできなかったよ。お姉さんは君が生きる事を望んだんだよ!」
「俺は……姉さんを殺したのに…………罪を償わなくてもいいのだろうか? ……生きていてもいいのだろうか?」
「君は姉さんに生かされたんだよ。罪なんかじゃない! だから死んじゃ駄目だよ!」
俺が創造した深雪はいつの間にか消えていた。
俺は楓の胸に顔を埋め、ずっとずっと泣いていた。
楓に抱きしめられながら……。
「俺は斬れといったんだがな……」
「またまたー、そんな事言っていつでもハルを燃やすことができたくせに!」
帝は瑠璃に突っ込まれ、誰も居ない方を向いてしまった。
「俺が鍛えた意味がまったく無かった。能力も使わずに晴彦の思いを断ち切るとはな」
帝は少し恥ずかしそうだった。
「瑠璃……まさか私を晴彦に食べさせるつもりだったんじゃないでしょうね?」
「つぐみなら多少食べられても平気でしょう? 一応の保険よ保険!」
つぐみは瑠璃を締め上げていた。
「でもまた何時ハルさんがこうなっても良い様に楓さんにはずっと見張ってもらわないといけませんね」
さとりが俺と楓をからかうように言った。




