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1-63 過去から現在へ
「僕がハル君を……」
楓が覚悟し言葉にした。
「みんなさみしいのかな?」
「そうね、みんなの相手をしてあげましょう」
深雪が姿を現し、帝以外にも見えるようになった。
ただ深雪は一人ではなく、まったく同じ姿で何十人と現れた。
「みんないっしょにたべようね!」
「誰が一番美味しいかしら?」
それぞれに複数の深雪が襲い掛かる。
力はあまりなく倒すのは簡単に思われたが、人の形をしたそれを殺すのは躊躇された。
「みんなお姉さんの相手をお願い! 僕がハル君の相手をする!」
帝がほとんどの深雪を赤い獣で拘束する。
そして楓が晴彦と対峙した。
「ハル君…………」
「…………」
晴彦は何も言わずに楓に襲い掛かる。
楓は晴彦が近づいた瞬間、刀から手を放し晴彦を抱きしめようとした。
「ハル君、食べて良いよ……」
晴彦は……俺は昔見た同じ光景を思い出した。
「ハル、食べなさい……」
幼い日に見た姉さんと今の楓が重なって見えた。
その顔は姉さんとはまったく違っていた。
でも姉さんと同じくらいとても可愛い顔だった。
そして俺は楓を押し倒した。




