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1-60 時は戻るのか
何も無いグラウンドに四人と傀儡が一体。
階段状の観客席には誰も居ない。
辺りは薄暗くなり、それはまるで皆の気持ちを表しているようだった。
「あれ? みんなどうしたの?」
「帝だけのはずなのにどうしたのかしらね?」
「姉さん、俺にはさっぱり分からないよ!」
見慣れた光景。
晴彦が見えない何かと楽しそうに話している。
「ハル君……」
晴彦に近づこうとする楓を静止して帝が前に出る。
「お前達は見えていないのだろう? 下がっていろ」
帝は前に対峙した時と同じ台詞を晴彦に言った。
「はやくはじめようか」
何のことかわからない晴彦はいつものように話した。
「姉さん、俺には何のことか分からないよ」
「そうね。ここはいつもの理由じゃないかしら?」
「そうだね、姉さん……」
晴彦は目を大きく見開き、口からは黒い息を吐く。
「おなかすいたね、おねえちゃん!」
純粋な瞳、まるで子供の頃に戻ったかのような。
「ハル、食事の時間よ!」




