1-58 揺れる想い
何時終わるとも知れない立ち合いの最中に瑠璃とつぐみがその場に来た。
「熱いわね。貴方達こんなところで修行していたの?」
「瑠璃に言われて付いて来たけど、修行って何をしているの?」
「えーと、瑠璃のお姉さんでつぐみさんだったかな? 本当にそっくりね。私は帝の命令で見えない物を斬る修行中なの。ぜんぜん進んでない感じだけどね」
楓は双子の姉妹を見て答えた。
「瑠璃と……つぐみか。晴彦はどうした?」
「今日の朝、すぐに自分の部屋に帰ったと思うわ。とても気分が悪そうだったわ」
「瑠璃がやりすぎるのがいけないのよ」
「……晴彦に何をした?」
何でも分かりそうな帝さえも瑠璃の行動は読めないようだ。
「ちょっと血腥いところを見せただけよ」
「あれは痛かったわ」
「ハル君に変なことしないでよね!」
楓と瑠璃が言い争っている所にさとりもやって来た。
「帝さん、調査は終わりました。やはり神無月深雪を作り出していたのは機械に繋がれた本人だけでなくハルさんも関わっていました」
「えっ、それどうゆうこと?」
楓が驚きの声をあげる。
「直接会いに行きましょう。ハルから野外の試合会場に来てほしいって、帝とハルが戦った場所よ」
仮想画面を手で操作しながら瑠璃が話す。
「帝、貴方をご氏名よ!」
「わかった、そこへ向かおう。犬飼、修行はここまでだ。間に合わなかったが仕方ない」
「間に合わなかったって、まだハル君に何かあったか分からないでしょう!」
楓は信じたくないのか大きな声で否定した。
「……そうだといいな。俺独りで行く、お前達は来るな」
帝はもう諦めているかのようにすべてを一人で終わらせるつもりに思えた。
「一体何の話をしてるの? でも何か面倒なことみたいね……」
「つぐみにも来て貰うわ。……保険としてね」
瑠璃がつぐみを強制的に連れて行く。
「僕ももちろん行くよ!」
「私も行きます」
それに楓とさとりが続いた。
全員が指定の場所へ向かう。
しかし自らが望んで向かうはずのその足取りは重かった。




