1-56 聖餐な
そしてそのままその日は解散になり、その帰り道。
「もー、ずっとメッセージ送ってるのに返してくれないし!」
不貞腐れながら部屋への道を歩く。
「僕はこんなに心配しているのにハル君は本当に困ったさんだよ!」
楓は初めてハルと会ったときの事を思い出していた。
試合した時の事ではなくもう少し昔の事だ。
「そんなに美味しくなかったかなぁ?」
友達同士でお弁当のおかずを交換したのだが、楓のお弁当は不評だった。
少し多めに作ったおかずは余ってしまいこのまま捨てるはずだった。
「捨てるのは勿体無いよ。俺にくれないかな?」
「え、でもあんまり美味しくないよ?」
「んー……たしかにいまいちだ!」
楓の手から強引に取り上げ、そういいながらも全部食べられてしまった。
「ご馳走様!次はもっと美味しいのが食べたいな!」
そして返事もまたずにそのままどこかへいってしまった。
「もー、勝手に食べてそのままどっかいっちゃうし! ……嬉しかったんだぞ!」
楓は過去を思い出し、また不貞腐れた。
その時ふと何かの気配を感じ振り返る。
そこには暗闇だけが広がっていて何も無かった。
「気のせいかな。今日はずっと見えない攻撃を見ようとしてたからかな?」
楓は少しだけ歩みを速めて寮の部屋に帰った。
「あと少しといったところか……」
楓とはとても離れた場所で、帝はそう呟いた。




