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1-55 楓さんの試練2
楓は疲労困憊でもずっと立っていた。
しかしこの言葉には膝をついていた。
「でもハル君は何も変わった所が無いわ! お姉さんが死んでからは変な言動も無くなったはずよ!」
「実験があまりにも過酷でその時の記憶が晴彦には無い。しかし操られていたとはいえ、姉が居なくなった事で精神的に不安定になっているだろう。今後何が起きるか分からない」
「何かあった時、僕にハル君を斬れということ?」
「そういう事だ」
「僕には……斬れない……」
「斬るのは晴彦の過去だ」
「そんなの斬れる訳無い!」
「……その時は俺が晴彦を殺す」
しばしの沈黙がその場に流れたが楓は覚悟を決めたようだ。
「斬ればいいんでしょう! 斬れば!」
何の為にこんな事をしていたのか納得し、楓は立ち上がった。
「一つ聞いていいかな? 君はどうしてハル君の為に行動するの?」
帝は遠い目をしながら言った。
「俺は晴彦の姉を殺したからな。形だけの命だったかもしれないがな……」
帝は本当は殺したくなかったのかもしれない。
助けれるものなら助けたいと……。
攻撃はすぐに再開された。
しかしその後も見えない物を斬ることはできなかった。




