1-52 見分けが付かない……いや見えない!
これで話は終わりだとでも言うように、帝は赤い鳥を自らの前に出した。
もちろん燃えている。
「お前はただ全てを斬れば良い。もちろん俺自身を斬っても良い」
そして赤い鳥が羽ばたき、楓を襲う。
「斬れるものならな」
自身ありげに帝は言ったが、楓は簡単に鳥を斬り捨てた。
この前の戦闘で折れてしまった刀の変わりに今使用しているのは村雨だった。
今までよりも少しだけ斬撃の威力が上がっているようだ。
「これくらい余裕だよ!」
だが余裕があったのは始めだけで、徐々に帝が出す赤い鳥が増え捌ききれなくなる。
しかも時折、目に見えない攻撃が楓を襲う。
攻撃は打撃だけで楓が燃えることは無いのが唯一の救いだった。
「どうして、急に、こんな、ことを?」
必死に攻撃を捌きながら問いかける。
「お前には見込みがある。さぁ、見えない攻撃を斬ってみろ」
楓にはさっぱり分からなかったが、見えない攻撃を斬らせる事が目的なのだろうと予測する。
この日は結局、見えない攻撃を斬ることができなかった。
「今日はここまでだ。また明日もやる」
「最後まで何も教えてくれないのね」
「お前の力が本当に必要になるかどうかもまだ分からない。そして今俺はすることが無かったからな」
楓はしばし考え……何かを思いついた。
「寂しがり屋さん?」
「……明日はもっとしごいてやろう」
帝はちょっとだけうろたえていた。




