1-44 見分けが付かない
そこは塀に囲まれた神社のようだった。建物がいくつもあり、道場まである。なんでこんなところに立ってるんだ?
って、ここからすぐ近くに街とかみえるし!
ぜんぜん森の中歩く意味ないじゃん!
「とりあえず今日はご飯を食べて休みましょう。さぁ中へ入って」
そのうちの一つの建物に案内され中に入っていく。
中は普通の家と同じ様なつくりで、丁度ご飯を準備しているようだった。
「ただいま、この人が連絡しておいた晴彦ね。それでこっちが私の家族」
適当な紹介を受ける。結構緊張するな。
全員能力者で家族構成は父母と双子の姉。
一応説明は受けていたがそっくりだ。
髪が瑠璃より長いことを除いて見分けが付かない。
もっとびっくりなのは父も母も見分けが付かない。
俺の病気はまだまだ治らないようだ……。
「まぁまぁ、よくいらっしゃいました。今ご飯を用意するから座っていてね」
たぶん、瑠璃の母と思われる人に話しかけられる。
父と思われる人は殺気を持った目で睨んでいる。
や、やましいことは何も無いぞ。
バイトをする為に来ただけだ。
「瑠璃、その人が新しい彼氏? 今噂の変態じゃない!」
「そうよつぐみ、中々良い男でしょう?」
ちょっと待ってほしい。
見に覚えの無い会話がされているぞ。
「試合終了後に神代帝を倒したっていう噂は本当なの?」
つぐみと呼ばれた瑠璃の双子の姉からこれまた見に覚えの無い話がされる。
そういうことになっていたとは全然知らなかったのだ。
「ええ本当よ。一方的な試合に見えて実は接戦だったのよ!」
瑠璃はあきらかに嘘な事を堂々と話していた。
「とりあえず、積もる話は後にしてご飯にしましょう」
瑠璃母により一旦話は打ち切られ食事となった。
こんなに味のしない食事はひさしぶりだ……。
瑠璃父とかずっと睨んでるし。




