1-32 お願い
「ここからが本題なんだけど、これから私の姿は三人に見えるようにするだけどハルにはこれまでのことを秘密にしてほしいの。
私が機械に繋がれているって知ったら必ず神無月家に歯向かい、私を助けようとするわ。でもハル程度の力じゃ何も出来ない……。
いつかハルが一人でも立ち向かえるくらい強くなった時に私から話すわ」
俺を守ろうとする意志がそこにはあった。
「最後に、実は神代帝がもう気がついて私達を殺そうとこちらに向かっているの。
気が狂うほどの幻覚を見せたのに信じられないわ。
神無月家の人間は信用できない。でも私だけではハルと自分を守れないかもしれない。
だから手伝ってくれないかしら?」
「もちろん了解だよ、ハル君とお姉さんを守るよ!」
「了解です、ハルさんならきっとお姉さんのこと諦めません!」
「了解したわ、帝は私が説得して見せるわ!」
皆が承諾した。
「最後にお名前を伺っても?」
さとりが最後にいまさら過ぎる質問をする。
「神無月深雪……ハルの姉です。これから宜しくね」
何も見えない。寒さで触れる感覚もわからない。そして音さえも聞こえない。
残る匂いと――味を確かめる。
「あーん、かぷ」
「ふぇぇ……」
「なーんてね。私がハルを食べるわけないでしょう?」
「ほ、ほんとうにたべられるかとおもったよぅ」
「ハルはガリガリであんまり美味しそうじゃないしね」
「そうだね、おねえちゃんみたいにまんまるじゃないね」
「……お家に帰ったら覚えておきなさい」
「ご、ごめんなさい」
「フフフ、まだまだ元気ね」
「ねぇ、おねえちゃん。おうちに……かえれるよね?」
「ええ、必ず帰れるわ。私が護ってあげるんだから」
怖かったけど楽しかった記憶。
本当の姉と本当の弟の最後の思い出なのだろうか。
あの楽しかった時には帰れない……。




