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偽りの力で真実を  作者: pinfu
ファントムブラッド(嘘)
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1-3 戦闘考察

 訓練室に足早に向かう。銃を職員室で受け取った後に来た為、到着が遅れてしまった。

 対戦相手はもう訓練室内にいるようだ。

 トーナメント表は番号で管理されているので相手の詳細はわからない。


「緊張しているの、ハル?」

「いや大丈夫だよ、姉さん」

「大事な初戦、がんばりましょうね」

「うん、姉さん。二人でがんばればきっと勝てるよ!」


 訓練室の扉を開け中に入る。

 何も無い空間が広がっている。窓も無く、出入り口の扉が一つあるだけだ。

 室内は基本的に閉ざされており外からは見えない。

 ただ中にいる人と学校内のシステムでフレンド登録をしておけば、外からも中の様子を見ることができる。もちろんフレンド登録者に見せないようにすることもできる。

 フレンド登録は他にも相手のことを詳細に知ることが出来るなどいろいろ便利なこともある。

 俺にそんな人はいないが、相手にはいるかもしれない。

 あまり派手に能力を使うと手の内が晒され、後の試合が厳しくなるかもしれないな。


 そして中には女の子が一人いた。知らない生徒だ。

 帽子を深々とかぶり顔はよく見えない。

 身長は俺より少し低いくらい。

 刀と思われる物を所持している。


「銃刀法違反じゃないのか?」


 思わず口に出してしまった。しかし相手もすぐに言い返してきた。


「銃持ってる人にいわれたくない!」


 俺は慌てて来た為、銃や弾を手に持ったままだった。


「銃程度なら守備がDランクでも防げるから気にしなくてもいいだろう?」

「刀程度なら守備がEランクでも防げるから気にしないで! まぁ僕の刀はEランクじゃ防げないけどね!」


 あまり人のことは言えないが適当な奴だな。だが適当で斬られては堪らない。俺の守備はEランクだからな……。


能力者の評価――――

 評価は基本的に五つの項目に分かれている。

 攻撃、守備、速さ、賢さ、特殊この五つだ。

 またそのランクはA~Eの五段階で分けられている。

 Eランクでも一般人の限界は超えているが一番弱く、Aランクが一番強い。

 Aランクは別名創造主。無い物を作り出す神の如き力の事で、世界中で数人しかいない。


 相手のプロフィールが俺の前に表示される。何も無い空間に表示される映像は何度見ても不思議だ。最近の技術は進んでいるなぁと実感する。


――名前・犬飼楓いぬかい かえで 能力・刀 ランク・CDDDE――


 その他にも顔写真、性別年齢などが表示される。データ量が多いので手で仮想画面に触れ、表示をスクロールさせ確認する。


「顔写真まで帽子かぶってるのは良いのかしら? 目とかほとんど隠れてるし……。やや攻撃よりのタイプみたいね、特殊がEランクだから変わった攻撃もなさそうね。刀にだけは注意しましょう。喰らったら肉は斬れるけど、骨までは大丈夫……だと思うわ」

「俺には銃があるし大丈夫かな」

「ハル間違ってるわ。自分の手から離れた物をマナで強化するのは難しいの。だから相手の強化した刀よりハルが強化できない銃の方が威力が弱いわ。大体ハルの全力の殴打と銃弾が同じ程度の威力よ」

「俺のパンチはそんなに凄いのか」


 そう思えたのは一瞬だった。


「当然相手も肉体を強化してるからハルの殴打はただの殴打、銃弾も殴打程度の威力しか与えれないってことね。ハルには無理だけど能力差があれば逆に殴打で肉体を貫通させる事もできるわ」

「なんとなく分かったよ姉さん。俺は……弱いんだね……」


 姉さんがいろいろ教えてくれた。

 初戦の相手はそれほど強くなさそうだな、俺はそれよりもさらに弱いが。


「君の能力はどーなってるの? わけが分からないよ!」


 相手が同じように仮想画面を見て、困惑の声を上げてくる。

 それはそうだ俺の能力は少し変わっているからな。


「ランクEEEEA……? どれだけトリッキーな攻撃なの?」


 俺は一点だけが飛びぬけているが後はお粗末な物だ。


「しかも能力・姉? こんなわけの分からない登録の仕方して良いの?」

 自分も身分証明の写真なら完全アウトな顔写真で登録しておいてよく言う。

 だが俺もまさか能力・姉で登録できるとは思わなかったがな。

「ああ、思い出したかも! シスコンの変態さんで友達が居ない気持ち悪い人がいるって聞いたことがあるわ!」


 まったく持って酷い言われようだ。


「俺の崇高な精神が分からないとは可哀想な奴だな」

「まぁ能力・姉が何か分かっても、特殊Aだし想像を超える攻撃が来そうね」

「それを教えるつもりは……無い」


 いずればれる事ではあるが、能力はなるべく伏せた方が良い。


「でもAランク、創造主か……。とりあえず神様の力、見せてもらおうかな?」


 相手は準備完了のようだな。


「こっちはいつでもいい。最初から全力で行く」

「全力で行かないと、攻撃喰らったら負けちゃうからね」


 姉さんが身も蓋もないことを言う……。


「私は少し下がって置くわね」


 姉さんは俺と少し離れ、壁際に移動した。


「マモナクシアイヲハジメマス」

「カイシセンマデ、サガッテクダサイ」


 機械っぽい声が聞こえる。案内に従い下がる。


「ショウブ……ハジメ!」


 初戦の火蓋が切って落とされた。


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