1-25 本当の、本当の事だけど……
結局あの後、お風呂から上がった瑠璃に「今夜は寝かさない」とかいうお決まりの甘い言葉を言われ、明け方までカードの勝負をさせられた。姉さんが居ない俺は一度も勝てなかった。
そして朝までご奉仕することになった。瑠璃はご満悦だったが俺はクタクタだった。
眠い目を擦りつつ、四回戦の試合会場へ向かった。
「気合入れなさいよね!」
気の抜けた顔をしていた俺は瑠璃に背中を叩かれる。昨日は棄権しろとか言っといてこれだ。
能力者っていうのは本当に適当だな。
野外の試合会場に着いた。何も無いグランドを傾斜がある階段状の観客席が囲んだスタジアムのような場所だ。
「おはよー」
「おはようございます」
「ハル、おはよう」
楓とさとり、姉さんが先に着いていた。その他にも四回戦ということもあり、試合がもう無い人も多く観客が疎らに居る。野外で行われる試合は隠すということが出来ない為、能力の情報収集という意味もあるのだろう。
それにしてももう少し人がいてもいいはずだ。相手は学年最強、一目見る価値はあると思うのだが?
「いっぱい居るね。試合中の事故で観客が何人も死んでるのにみんな命知らずだね!」
そういうことか、命がけで観戦する奴はそうは居ない。……戦う人はどうなるんだ?
「ハルさん、上着をお返ししますね。気休めかもしれませんが耐熱性をあげておきました。少し匂いますが、この一戦だけでも我慢してください」
薬品臭い上着を受け取る。命の為だ、我慢しよう。
周りが適当すぎるのかさとりだけはとても頼れる。姉さんの次にだけどな。
「何か質問はありますか?」
「一つだけある」
「周りから変な目で見られるのは慣れているんだが、今日は一段と冷ややかな目で見られている気がするんだが?」
「えっ、その……」
さとりは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
あれ、このやり取り前もしなかったか?
「この前の試合内容がどこかから漏れたみたい」
「女を襲い辱めてそれをネタに脅迫。さらに朝同じ部屋からでてきたよね?そりゃ噂にもなるよ!」
楓に手の甲を抓られた。
「いたた、仕方なかったんだよ!」
「私は別に気にしない。他人にはどう思われてもいいわ」
瑠璃はまったく気にしていないようだ、精神も強い奴だな。
さとりが直接の原因ではなかったが、そういう雰囲気にしてしまったことを気にしているのか申し訳なさそうな顔でこっちを見ている。
俺は女に対して最低っていうレッテルが貼られて取れそうに無い。
しかもシスコン、妄想癖あり。
逮捕されてもきっと精神鑑定でってあれは病院に隔離されるだけなんだっけ?
などと現実逃避していたら姉さんから突込みが入る。
「ハル、私は悲しいわ。貴方の育て方を間違えたのかしら?」
「冗談だよ姉さん。って、姉さんは理由も何も全部知ってるよね?」
大丈夫、誤解はない。みんないつもの目で俺を見ている。
あの冷たい目で……。
もう嫌、勘弁して下さい。




