1-23 お出かけ
「さーて、僕達はまだ何も食べてないし、どこか食べに行く?」
「おすすめのバーガーショップが出来たんですよ。期間限定で海外企画のビッグサイズで頼めます」
「私の特性スープも無くなっちゃったし食べに行きましょ」
「俺もスープだけじゃ物足らない。まだまだ食べれるぞ!」
「ハルの胃袋は底なしね!」
満場一致で俺達は出かけることにした。
道中や食事中に俺は今までの姉さんとのことをみんなに話した。
辛いとき悲しいとき、楽しいとき嬉しいとき。いつも姉さんはそばに居てくれ話しをしてくれたことを。途中我を忘れて姉さんの素晴らしさを語ったときはみな無言で冷たい感じだったが、きっと俺が姉さんをどれだけ大切に思っていたか分かってくれるたはずだ。
また瑠璃のことも聞けた。代々昔より神を敬い奉ることを仕事としてきた家の出身らしい。
それにしては変な能力だと思うが接近戦でどうしても勝てない奴がいて飛び道具を練習中ということだった。それがカードだったのは重いものは扱いが難しいから適当に趣味の物を使ったらしい。やっぱ能力者は適当な奴が多いな。
それ以外にも楓の刀は妖刀の模造品で見た目はまったく同じだとか、さとりの傀儡の面は能で使う物で他にもたくさん持っているなど、まるで自己紹介をするようにたくさん話をした。
いままで俺が何も知らず、どれだけ孤立していたかを思い知ったが逆に今は違うとも言えて嬉しくなった。
友達とこういう風に外で食事をするのはとても楽しくて、いつもよりも美味しく感じ量も何倍も食べてしまった。
そろそろ帰ろうかという時にさとりが上着を貸してほしいと変わったことを言ってきた。
「次の試合に向けて気休めかもしれませんが、防御が上がるようにしておきます。
楓さんは私の部屋で作業を手伝ってほしいです。
瑠璃さんは明日の対戦相手に詳しいと思うのでハルさんに教えてあげたらどうでしょう?」
次の試合のことをまったく考えて無かった俺はさとりに感謝した。
「了解、まかせといて!」
「あまり教えたくないけどさとりの頼みなら仕方ないわ。その代わり、傀儡ディーラーの値段はサービスしてね」
やさしい楓とちゃっかりした瑠璃は快く承諾してくれた。
対戦相手の説明は別の場所でということになり、そこで楓とさとりは上着の事もあり別行動になった。
二人きりになった楓とさとりが話し始めた。
「ねぇ、さとりちゃん。なんでハル君にいろいろしてあげるの?」
「実は……神無月家からお金を頂いてます」
「……それハル君知ってるの?」
「たぶん知らないかと、口止めもされてます」
「商売人だね。それ知ったらハル君、悲しいんじゃ?」
「頂いたお金はほとんど材料費に使いますし、作ってあげたいと思うのは私の本心です」
「それならいいのよ」
「今の世の中、能力者第一で道具はあまり大切にされません。私の作った傀儡を大事にくれたことが嬉しかったんです」
「僕もいっしょに運んだんだよ?」
「楓さんにも……感謝していますよ?」
さとりはそっと楓の上着の端をつまみ歩いた。
「それよりも楓さんはハルさんのことどう思っているのです?」
「んー……実は前にもハル君と会ったことがあるんだ」
「そうなんですか?」
「僕の料理を無理矢理全部食べちゃったくせにいまいちとかいってさ! それから僕は料理の勉強をしてがんばったんだよ!」
「そうだったんですか」
「しかもハル君は覚えてないんだよ?」
「それで好きになったんですか?」
「あははー……それは分からないな!」
「まぁ、私に隠し事はできませんけどね」
「あ、能力使うのは反則だよー!」
楓はぜんぜん誤魔化せなく、恥ずかしくなったのか明後日の方向を向いていた。




