1-14 普通に会話できてるね……まぁいいか!
「いやー、びっくりした本当!」
「君は試合中は無傷なのに、どうして終わってから怪我するのかなぁ!」
倒れてきた傀儡で怪我をしたが、血がいっぱいでただけで大したことはなかった。
ただ場所がまた右腕だったので楓はとても心配してくれた。
「それにしてもこの傀儡軽いな、中はからっぽなんだな」
「あまり重いものを動かすのは能力者でも大変だからね!」
「ハル、怪我したばかりだから無理しちゃ駄目よ」
姉さんは傀儡を持っていないのに気楽なものだ。
「あ、着いたよ。ここがさとりちゃんの部屋だよ!」
ピン、ポーン。呼び鈴を鳴らし、いるかどうか確認する。
いても恥ずかしくてでてこないかもだけどな。
「は、はい。あ……すいません。運んで頂き有難う御座います」
顔は真っ赤だが出て来てくれた。
「せ、せっかくですしお茶でも入れます。中へどうぞ」
まぁ楓とは前から知り合いだったみたいだし当然といえば当然の流れだった。
中は工房の様になっており、いたるところに見たことも無い道具が置かれている。姉さんはいろいろ物色しているようだ。
「僕がお茶入れちゃうね、座って待っててね」
楓がキッチンへ向かう。
さとりと二人になり、ちょっと気まずい雰囲気になる。
しかし以外にもさとりの方から話しかけてきた。
「そのお怪我は?」
「ああ、傀儡を運ぶときにちょっとね。大したことないよ」
少し驚いたさとりは、深々と頭を下げてきた。
「ご、ごめんなさい。ご迷惑をおかけしました」
「俺が不注意だっただけだよ。気にしないでね」
余計な心配をさせてしまった。
「楓さんとも知り合いの様ですし、もしよければフレンド登録をしませんか?」
「よろしくお願いします!」
俺の回答は決まっていた。
「傀儡のお礼に今度何か作って差し上げますね!」
さとりにとって傀儡はよほど大切な物らしい。
「む、さとりちゃんが口説いてる!」
楓がお茶持ってきてそういった。
「ち、ちがいます。純粋にお礼ですよ!」
「そう?」
中が良さそうに楽しく話す二人。
「これは何で出来ているのかしら? ハルつけてみない?」
姉さんがいつの間にか傷が直っていた傀儡の面を指差しながら言った。
俺も興味が沸き傀儡に近づいてかぶる為に席を立とうとした。
「ハルさん、つけてはいけません。それは危険な物です」
さとりに止められ立つのをやめる。
「それは昔、戦場で多くの血を吸った木より作られました。すこし赤みがかった色はその為です。そしてつけた者は正気を失うと言い伝えられています」
どっかで聞いた話だな。なんだか物騒で怖かったので俺は身震いしてしまった。
「実際につけても何もありませんけどね」
どうもからかわれたらしい。さとりと楓、二人が大きく笑う。
「ハルは本当に怖がりね。でも私がついてるから大丈夫よ」
姉さんにまで言われて俺はちょっとへこんでいた。
「心を奪われるで思い出した。この前の妖刀の件は解決したから僕の刀研いでくれるかな?」
「それは良かったですね。刀の方は任せてください」
「ハル君が手伝ってくれたしね!」
俺の方を向いて話してくる。
「ひどい目にあったけどな!」
「もう、ハル君は結構イジワルさんだね!」
まぁ結構大変だったしこれくらいは言っても良いだろう。
「それで犯人は誰だったのでしょう?」
「犯人は、神代帝に燃やされちゃったわ。僕の家で認識票とか調べた結果では裏で海外組織が糸を引いていたみたい。妖刀も神代に持って行かれちゃった」
楓は残念そうに言った。
「能力者の誘拐が失敗続きでしたからね。今度は物ということですか」
この能力者の学校が島にあるのは一般人を能力者から守るという事と能力者自身を更なる外敵から守るという二つの意味があったのかもな。
「せっかく奪ったのに誤って妖刀を抜いちゃったんだろうね。まぁこれでしばらくは大人しくなるさ!」
「そうですね。……刀の研ぎは少し時間が掛かるかもしれません」
さとりはおもむろに刀を抜きつつ答えた。
「しかし、これは新しいのを探した方が早いかもしれません。一応研いでおきますが、そう長くは使えないと思います」
「そっかー、ずっと使ってた刀だしなー。まぁ、お願い!近いうちに新しい刀を探すことにする!」
話が一段楽したところで俺達は帰る事にした。
「さとりちゃん、刀お願いねー!」
「またな!」
「面白い物があったし、また来るわね」




