プロローグ
処女作品になります。
小説をかくのは初めてなので、気になる点もあると思いますが、完結目指して頑張ります。
どうか温かく見守ってください。
「ご、ごめんなさい!」
創守夜鷹は咄嗟に謝った。声と同時に自然と頭が下がり、教室の床が見える。
「え……。あ、ううん。私もちゃんと前を見ていなかったから」
じゃあね、とすれ違う女子生徒を見ずに教室を出て階段を駆け降りていく。早く家に帰りたい。夜鷹の頭にはそれしかなかった。
校門前の自転車置き場で、ようやく一息ついた。そしてふと思い出す。自分は昔から人と関わるのが苦手だった。気弱で臆病な性格で、いつもおどおどしているからか、見た目が怖い同級生にはいつもからかわれていた。
今日だって、本当はもっと早く帰ることができたのに、クラスメイトの男子に掃除当番を押しつけられたのだ。もちろん断ることもできず、掃除をするハメになったが……。
「平和に終わってよかったな」
帰りに誰かとぶつかってしまったけれど、明日は土曜日で学校は休みだ。一日家で寝ているだけだけど、学校にいるよりよっぽどマシだ。夜鷹は自転車に鍵を差し込み、家へ向かった。
***
家の前の上り坂の前で、夜鷹は急ブレーキをかけた。キキキー、というブレーキ音が辺りに響く。
上り坂で自転車を押すために止めたのではない。
目の前に猫が現れたのだ。急に、何もないところから。最初からそこにいたかのように現れたのだ。猫は、自転車のタイヤに当たりそうで当たらないギリギリの位置に座りながら、夜鷹を見上げていた。
「君、今、急に出てきたように見えたんだけど」
自転車に乗りながら猫に問いかける。
「それに、こんなに真っ青な毛の猫なんて初めて見たよ。すごくキレイだね」
猫がぴくっと反応した。それに気付くこともなく、夜鷹は自転車を止めてしゃがみ込み、猫に話し続ける。
「君は、不思議な雰囲気だね。なんだか、人と喋っているような……」
そこまで言って、夜鷹は言葉を飲み込んだ。
何で猫に話しかけているんだ。いくら不思議でも猫は猫。返事が返ってくるわけがない。
きっと最初から道に座っていて、自分が気付かなかっただけだろう。それに、こんなにキレイな猫が野良猫なわけがない。おそらく、誰かの飼い猫だ。
早く帰れよ、と夜鷹は猫の頭を撫でた。猫は目を細めることもせず、じっと夜鷹を見つめている。夜鷹は立ち上がり、止めていた自転車にまたがった。そして、目の前の上り坂を上り始めた。
「待って」
ハッキリとした女の子の声に、夜鷹は思わず振り返った。そこには、青い猫が、こちらをじっと見つめていた。
――そうして、僕らは出会ったんだ。