3人目の勇者は今日も全力で叫ぶ
・・・いてて。
・・・ん?ここどこだ?
・・・なんか床から強い白い光が出ていて周りがよく見えないんだが・・・。
確か、事件を解決した帰りに宗教勧誘のおばさんに足止めくらって・・・
でもそのおばさんは実は宗教勧誘の皮を被った未知の生物だったことが判明して・・・
命の危険を感じて後ろ向きで必死で逃げてたら、いきなり前方からすさまじい光につつまれて・・・
で、今に至ると。
・・・ダメだ、さっぱり分からん、どこだここ。
そういえば、光に包まれる直前になんか人にぶつかったような・・・
・・・おっ、とかなんとか言ってる内に足元の光が弱まってきたぞ!!
これで周りの状況が分かるな。
・・・ていうか超能力使って周りに人がいるかどうか確かめりゃよかったんじゃね??
失敗、失敗。
とりあえず最大出力で・・・・発動!!!!
(成功だぁぁぁぁぁーーーー!!!!!!!)(おい、マジか成功したぞっ!!!!)(信じられん、まさか成功するとはっ!!!!)(やったわ!!!!成功よっ!!!!)(あれ?人影が3人みえるぞ?まっいっか、とにかく成功だぁーーい!!!!)(あちゃーー、成功しちゃった・・・)(うひょーー!!これで魔王からの脅威からかいほうされるわい!!)(・・・ふっ、計算通り!!)(きゃーー、イケメンがいるわーーー、ロックオン!!!!)(やばい、ちょっと漏れた)(うっほほぉぉぉおい!!!!これで帝国にも有利にことを運べるぞぃぃぃい!!)(勇者きたぁぁぁぁぁあああーーーー!!!!)(勇者か・・・いったいどれほどの手練れなのだろう・・・ワクワクするぞ!!!)(あんぱん食べたい)(いてて・・・ん?ここどこだ?)(マジかよ・・・)(まずい!!!勇者召喚が成功してしまったわ・・・!!急いで本部に知らせないと!!)(勇者だ、勇者がいる!!)(やったぁぁぁぁあああ!!!!成功だぁぁぁぁあああ!!!)(ふっ、興味ない・・・)(よっっっっしゃゃゃゃぁぁああああ!!!!!)(さぁ、喜びの叫びをあげようではないか!!!!)(大声で叫んでやる!!!!)(大きな歓声で迎えようじゃないか!!!)
「ぎゃぁぁぁぁあああああ!!!!!うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!」
勇者が召喚された直後、一番最初に大声をあげたのは、王様でも王妃様でも王女様でも大臣でも貴族でも使用人でもない、ほかでもなく勇者本人でした。
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・・・あーー、びっくりした。
まさかこんなに近くにこんなに大勢の人間がいるとか思わないですやん。
調子乗って最大出力とか出すんじゃなかったな。
・・・リアルに死ぬかと思った。
・・・ん?なんだ?なんでみんな黙ってこっちを見てるんだ?何この空気?沈黙が痛いんですけど・・・
あっ、オレが叫んだからか。
そういえば、勇者がどうとか・・・
先ほど大量に流れ込んできた情報を整理して考え込んでいると、周りが茫然としている中、一人の少女がぎこちない笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「ようこそおいで下さいました勇者様方、わたくし今回勇者様方の召喚に参加させていただきました、宮廷魔術師のリアーナと申します」
(・・・いろいろ予想外なことが起きたけど、最初の予定通りにいくしかないわ!!)
・・・やっぱりそうか、これは俗にいう勇者召喚とかいうやつだ。
しかもどうやらオレはその勇者召喚に巻き込まれたらしい・・・
全くはた迷惑な話だ。
・・・さっきからずっととなりにいる、この制服着た二人の男のどちらか、あるいは両方の勇者召喚に巻き込まれたのだとみて間違いないな。
「えっ?勇者召喚・・・ですか?」
(勇者召喚ってなんだろう・・・でもそんなことを聞いたらオレの頭の悪さを周りにさらしてしまうようなものだし・・・どうしよう・・・よし、このまま突き通そう!!)
「ちっ・・・最悪だぜ・・・」
(きたぁぁぁぁあああーーーーー!!!!異世界召喚きたぁぁぁあああーーーー!!!!やばい超うれしい、超ハッピー!!!夢にまで見た勇者召喚!!何度このシチュエーションを妄想してきたことか・・・やばい・・・泣きそう・・・超うれしい・・・死んでもいい・・・ハッ!!こんなことしてる場合じゃねぇ!!異世界に召喚されたら「やれやれ召喚されちまったぜ、今すぐ帰れそうにもないからしゃあなしに世界を救ってやるか」キャラでいくと決めていたじゃねぇか!!オレのバカ!!ここは喜びを悟られないよう、苦々しい表情をつくらなきゃ!!)
ああ、今すぐ帰りたい。