mission:8.勝利
相変わらずだ。
この静けさは何だ?
ジョージは非常に機嫌を悪くしていた。
それもそのはずだった。
屋敷に入るなりいきなり化け物に襲われるし、
仲間とはぐれるし、
自分ひとりだけになるし。
もう沢山だった。
正直な事を言うともう逃げたかった。
しかし逃げれないのだ。
救助用のヘリが来るまで待たなければ、確実に死ぬ事になる。
あの悪魔どもに狙われて。
「どこだ?ここ」
ジョージが居たのは図書室だった。
大量の本が並んでいる。
「学校みたいだな、こんなに沢山…」
ジョージは銃をしまって、本を手に取り始めた。
色々な種類があり、豊富だった。
「アリの生態…こんなもの読むのか」
あまりにも不気味だったため、図書室は出たいと思った。
そんな時だった。
後ろのドアが開いたのだ。
「ッ!誰だ!」
そこにあったのはルーズの姿だった。
「ジョージ…か?」
「そうだ!ルーズか…良かった…」
ジョージの内心はきっと化け物と勘違いをしていたのだろう。
あの驚きは尋常じゃなかった。
「フォッズは?」
ジョージが聞くと、ルーズは残念そうに言った。
「あいつは…あの化け物の攻撃で離れ離れになっちまった。
中央階段をあいつの攻撃でやられた。別の道を通るしかない」
ジョージはその言葉で希望をすこし落とした。
「ここは…図書室か」
ルーズも同じ考えだったようだ。
本を取り、開く。
「…悪魔の種類」
ルーズが読み始めると、ジョージが近づいてきた。
「悪魔に関する一考察…か」
ルーズは興味なさそうに本を閉じて元あた場所に戻した。
ジョージはそれを気に留めなかったが。
「こんなとこに居ても始まらない。行こう」
「ああ」
二人はそう言い残して図書室を出た。
そのころフォッズは、化け物からの逃走劇を始めていた。
後ろから恐ろしく早いスピードで追いかけてくる化け物。
「何なんだ、この速さは…」
言語は冷静的だが、動きは正直、本気だった。
あの化け物はいまだに走っている。
この大廊下もじきに行き止まりが来るだろう。
だったら…
フォッズは腰に付けていた閃光手榴弾を使って化け物に当てた。
「グエッ!!」
化け物は目がふさがり、何も見えない状態になった。
「今だっ!」
フォッズはその隙に、丁度良く前にあったドアに飛び込んだ。
間一髪で化け物から逃れたフォッズ。
しかし、安心もつかの間、正面戦闘をしていたアルヴォンとジョセフが向かってきたのだ。
「今だ!頭を狙って連射しろ!」
アルヴォンの声がドア越しに聞こえる。
と同時に銃弾の雨が降った。
化け物はさすがに怯んで、また触手を出した。
「あれを狙え!」
アルヴォンの声と同時に、ジョセフがショットガンを撃った。
「グギャァァァォォォ!!」
けたたましい悲鳴と共に、化け物は苦しみ始めた。
「こいつ…まだ死んでないのか」
生命力がもの凄かった。
その銃声をききつけたデビットが寝室から出てきた。
「!!ディモール…あのメモには無いか、こいつは!」
その言葉はみんなには理解出来なかった。
が、弱点をみんなに教えるため、デビットは叫んだ。
「みんな!そいつらの弱点は体の中心核だ!中心を狙え!」
その叫びに応じて、フォッズがドアを蹴って出てきた。
「こいつを喰らいな」
言った瞬間に放ったスコープライフルの弾が唸った。
「グガァァァ!」
ディモールはその場に長い膝をついて倒れた。
そして、そのまま溶けて無くなった。
「た…倒した?」
アルヴォンが驚いた。
あの化け物を倒した。
そう思うと嬉しくなる。
「デビット!一体全体、何で知っているんだ?」
アルヴォンが嬉しそうに聞いてきた。
「ああ、今居た寝室に資料があってな、それを読んだらそんな事が書かれていたよ。ホラ、これだ」
デビットが懐から出した資料を、みんなで読んでいた。
そのうちに、ルーズとジョージが駆けつけた。
「倒した…のか?」
「ああ」
二人もまた、資料を見た。
「ふむ…ディモール…か」
「不思議なものだな」
アルヴォンが首をかしげる。
「って事は、街にもあいつらが!?」
ジョージば驚いてそう言う。
「そうだろうな、どっちにしろ逃げられないって事か」
デビットが投げ捨てる様に言った。
「だったら、殲滅させてやろうぜ!!」
ジョージが叫んで、腕を高く突き上げた。