mission:2.日記
フォッズが安全確保のため、中心部の奥へと向かうのを見て、
アルヴォンとデビットが治療薬調達のため、一軒の民家へと入った。
「荒れてるな…」
呟くデビットの額には汗が光っていた。
彼は心の奥底では緊張していた。
あのγがやられたのかも知れない。
そんな考えが脳裏を過ぎると、不安と緊張が高まってしまう。
「薬箱か棚のあたりを探してみよう」
アルヴォンが言うと、デビットが承知して、二階に続く階段を駆け上った。
アルヴォンは机の上に置いてある本を取って見てみた。
「日記…か?」
内容はいたって標準な普通の日記だった。
「8月25日…最近だ」
8月25日
今日は隣の家のおばさんから差し入れで野菜を貰った。
結構な量だったが、不満も感じた。
うちが貧乏なのを知っていてこんな嫌がらせをしやがる。
ふざけやがって、俺が悪い事して貧乏にでもなったとでも言うのか?
ちくしょう、いつか仕返しはしてやるぞ
8月28日
やっとの事で金が入ってきた。
職場は簡単なものだ。
これで俺にも仕事が出来た。
この話は内密にしておこう
9月2日
隣のクソババァに話が漏れたらしい。
嫌がらせが一段と上がってきた。
仕事はすんなとかいう問題か?
やはりこのババァ、正気じゃない
9月4日
今日は空が変だ。
真昼間っから暗くなっている。
一時あたりで電灯を点けなくてはやっていけなくなる。
ただ事じゃなさそうだ。
9月5日
奴らが降って来た。
あれは何なんだ…
人間の形じゃない…
化け物だ
悪魔だ
死神だ
俺達はこのままじゃ殺される
死ぬ
9月6日
死ぬ
殺される
9月7日
死ぬ
殺される
9月8日
死ぬ
殺さ
9月9日
「気持ち悪ぃ…」
途中で切れた日記だったが、気になった部分が一部あった。
「奴らが降って来た?どういう事だ」
アルヴォンが日記に気を取られていると、二階からデビットの声が聞こえてきた。
「隊長さんよォ!治療薬見つけたぞォ!」
歓喜の声を上げてばからしく声を上げたデビットの場所まで行くと、デビットが止血剤と包帯とガーゼをセットで持ってニヤニヤしていた。
「よくやった。次の民家へ行こう」
アルヴォンが言うと、続きがあるようにデビットが引き止めた。
「待ってくれ、武器も見つけたぞ」
デビットが指を指した。
その指先にはきっと狩りにでも使うようなハンドガンが置いてあった。
「これは…いいな。取っておこう」
デビットが任務完了という顔振りで民家を出た。
アルヴォンは日記が引っかかっていた。
「奴ら…」