蒼
勝たなくちゃ。
瑠さんみたいになりたい。
勝たなくちゃ。
このチームをWEリーグに参入させるんだ。
勝たなくちゃ。
いい選手をいっぱい入れるんだ。
そのために、私が点を取る。
背負うことはないと律には言われるけど、背負っちゃうよ、そりゃ。
背負って超えた先に自分の夢があるんだから。
大人たちはみんな頑張ってる。
私にはわからないところで、私にはわからない苦労して、
私にサッカーをさせてくれている。
でも、
このところ思うように得点できていない。
「勝てない」わけではないんだけど、もっと得点できるはずだ。
「りーーーーーん!」
動き出しで目が合う。これが鈴だ。
だけど、もう少し早く、強く、前目に出した方が、私は裏が取れる。
「ストップ!鈴!替わって」
鈴がベンチに帰って、律と話してる。
ホワイトボードにマグネットや身振り手振りで律が説明してる。
ベンチの鈴と目が合う。親指を立てる。
鈴はいつも前向きだ。
自分のできることを組み合わせて、新しいチームのカナメになろうとしてる。
「ただのおばさんじゃない」って、ホントだった。
自分のペースでボールが出ないことはよくある。私の動きは、読めないとこがいいとこだから、味方も翻弄させる。
鈴はそれを読もうとしてる。
早さのない分、先読みをする。
強さがない分、正確なパスをする。
私が瑠さんみたいな動きをすれば合うんだろうな。
いーや!私には私の持ち味がある。
鈴ならできる!
「鈴、もどって、攻撃の形、確認しよう」
律のゴールキックをマイボールにするところから始まる攻撃の練習。
DFは4バックで敵になる。そこを剥がしてゴールまで持っていく。
「りん!」短く呼んだ。(早く!)の意味を込めて。
でた!早い!
やるじゃん、りん!
見たなーこの感じ。ゴール前に3人入ってる。ニヤニヤが止まらない。
日本代表、瑠さんの初ゴールのポジションだ。
キックフェイント入れて・・・
そう、私は、1番得点の匂いがするところにパスを出した。
味方のダイレクトシュートはGK律に弾かれた。
ここだ。
こぼれ球を押し込む。決まった!
そう。瑠さんと同じプレイができないんじゃなくて、これが私のプレイ。
律の顔が歪む。律、それって監督の顔じゃない。
プレイヤーとして悔しそうw そこ「ナイスゴール」って言ってくださいよー
「鈴!ナイスパス!」手を振る。
鈴も手を振る。
かっこいいよなーこの人。
まだまだ進化する気だ。
私ももっともっと練習して進化して、この人を振り回す!
「ついてこい!鈴!」と言ったら
「調子に乗んな」と笑われた。
でも、次も決める。
大好きな人たちと勝ちたいから。
明日につづく




