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ドラゴンマスクより ーふたつのゴールー  作者: 福本 美憂


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「ナイスカバー!」

「切り替え!」

律の声だ。

あぁ。

この声、久しぶり。

FW、新人かぁ。

面白いのいるじゃん。

り・ん・は・・・

あ、いた。

相変わらず振り回されてる。

……楽しそう。

鈴が翻弄されてるのはいい。

鈴は振り回さなきゃ伸びないからねw

私も今のチームに振り回されて、連携取れてきた感じ。

誰がどんなプレイするのか、自分の良さを引き出してくれるのは誰か。

わかってきてから試合が楽しくて仕方ない。

今の監督は、律と違って尊敬できるしねw


でも、

律って、教えるの上手くなったな。

昔は怒鳴るだけだったのに。

あいつ、私には一度もあんな言い方しなかったぞ。


WEリーグの中休みに律率いるギリギリチームの試合を見にきてみた。

日本代表になれてたらな〜今頃、代表合宿なんだけどね。

まぁ、そんなに簡単じゃない。まだまだ、そこまで私が行けてないってこと。

でも、狙ってはいるんだ。


だって、うちのチームからは2人招集されてる。

「なれたらいいなぁ」じゃなくて、「なる!」って思ってやってれば、代表監督にプレイを見てもらえる位置にはいるんだ。絶対、やってやる!


それにしても、久しぶりだな〜このピッチ。

今のチームの練習場に比べるとかなり狭いけど、試合ができるピッチを持ってる県リーグのチームは学校関係だけだもん。それを考えれば、ありがたいピッチだ。

あー見えて律は、備品や建物管理はちゃんとしてる。

Youtubeで流れてる律のクラブ運営は嘘じゃなくて「だから、お金が必要」ってのも納得がいく。防球ネットの修理にクレーン車使ってんのは笑えた。コメント欄は「そこに金使うんかい!」で埋まってたけど。


ここに来ると初心に戻れる。

自分に空気が入ってくるのが分かる。

心に溜まってた乳酸が、ゆっくり溶けてく。


「りーーーーーーん!走れーーーーーー!」

あはは!キョロキョロしてるw

目があって手を振る。


新人FWが1人、こっち見てぼーっとしてる。

「動き止めんな!裏取れ!FW!」

やばい。あの新人ビクッとなった・・・あ、でも試合に入ってった。

よかった・・・脅すつもりはなかったんだけど。


律と目があった。

口の動きが(あーるぅだー)と言ってる。

相変わらず、アホっぽいな。

でも、チームは面白い具合に出来上がってきてる。

さすが、律。


試合後ベンチに向かって叫ぶ。

「リーーーーーん!久しぶりーーーーー!」

鈴が走ってくる。

だめじゃん。試合後に走れる余力残しちゃw


鈴が今年の選手を紹介してくれた。私なんかより、ちゃんとキャプテンしてる。

あの新人FWは、試合のキレが全く消えて硬直してた。

「瑠がこのチームにいる時からの瑠ファンなんだよ」

私のファン。いたんだー私を観てた人。


「よろしく」そう言って片手を出した。

「あ!今、手が汚くて無理!」と拒否られた。


え〜!フラれた!


最近覚えたファンサなのに〜はずっ!

「いいから手出せっ!」と鈴が無理やり握手させた。


「ところで、瑠さん、ここで何してんですか?」

「え?暇だから試合見にきたんだけど」

「!!!瑠!スマホは?」

「ない。試合見るだけだから置いてきた」

「瑠さん!じゃ。。。知らないんですか?!」

鈴が呆れた顔で私にスマホの画面を見せた。


「追加招集されてるよ!」


「帰る!」頭は混乱してるが、急がなきゃやばいことだけはわかる。


急いで帰る背中で「がんばれよ〜」と律の声。

みんなが大笑いしてる。

「私、日本代表になった瑠さんの最初の握手もらったー!」

「やったじゃん!」

「私もしてもらえばよかった!」

みんなの楽しそうな声が聞こえる。


最初から私なんて居なかったみたいだ。

LASERSTRAHL, RU!

鈴の声だ。

私がいなくても、このチームはちゃんと前に進んでる。

私も負けてられない。



明日につづく

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