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俺の王子様-3lover-【新エピソード&加筆修正版】  作者: 三愛 紫月


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8/11

王子様のようなヒーロー

 2人と一緒に、同窓会会場に入ると女子達がざわつきだした。


天羽あもう秋帆だ」

美澄心春みすみこはるやん」

「相変わらず綺麗やん」

「彼女いるんかな?」

「まさか、結婚とかしてないよな」


 周りの声が耳に入ってくる。

 そりゃあ、気になるよな。

 35歳で、めちゃくちゃイケメンやし。

 あの頃と体型も見た目も変わってへんのやから。

 みんなの視線が2人から俺にいったのがわかる。


「ってか、なんで流川といるん?」

「流川ってゲイやんな?もしかして、二人を引き込むつもりなんちゃう」

「うわーー。ないわ、きもいわ」

「あいつ、ほんまヤバいやつやろ」

「ほんまにキモい。近づかんといて欲しい」


 みんなが、こそこそと話ながら俺を見てくる。

 この目が嫌や。

 逃げたい。

 みんなの視線に見つかるのが嫌で、心春君から手を離そうとしたのに……。

 心春君は、俺の手をより強く握ってきた。

 えっ?何でなん?

 ええの?

 こんなん見られて。



「さっきは、どうも」


 灰原が、秋帆君にわざわざ近づいてきた。

 俺達3人を値踏みするように上から下まで視線をずらして。


「それ、わざとか?」


 灰原はの視線は、心春君と俺の手の方で止まった。


「自分が美月君に優しくできへんのを、いちいち俺等にあたるなや」


 心春君ではなく、秋帆君が灰原に答える。


「はあーー?俺はいつでも優しくしてるわ」

「へーー、そうやったっけ」


 秋帆君の言葉にイライラした灰原は胸ぐらを掴む。



「大人やねんから、こんなとこではやめな」


 秋帆君が、胸ぐらを掴んだ灰原の手を掴んで言うと……。


「だったら俺から、美月を奪うなよ」


 灰原は周りを気にする素振りも見せずに、秋帆君を睨み付けてそう言い放った。


「そんなんみんなの前で言うたら、軽蔑されるんやない?」

「関係あらへん。明日には他人になるような奴等のことなんか。どーーでもええわ」

「そうか。ほんなら聞くけど、今の言葉どういう意味なん?」


 秋帆君の問いかけに灰原が話し出した。


「お前がずっと美月が好きやったこと。俺は、知ってんねんで」


 灰原の言葉に会場にいる人達が、ザワザワとし始める。


「天羽ってそっちなん?」

「めっちゃ好きやったのにショックやわ」

「ってかなんでなん、なんで流川なん」

「ありえへんよ」


 みんなが軽蔑した眼差しを向けているのがわかる。

 みんなからしたら俺達は、汚いものなのだ。

 そして、俺達に聞こえるように話している。

 俺のせいや。

 俺のせいで、2人がこんな目を向けられてるんや。

 灰原を睨み付ける。


 俺の目を見たのか秋帆君が笑いながら話し出した。



「ハハハ、人間っておもろいな。中学の時、俺を好きや好きって何度も告白してきた奴も……。俺が、男が好きやってこいつに聞かされたら、みんな掌かえしよるな」


 秋帆君は可笑しいのか、お腹に手を当てて笑っている。


「ほんなら、やっぱりお前は美月が好きやったってことやろが!」


 苛立つ灰原が大きな声を出した。

 秋帆君は、笑うのをやめて灰原を睨み付ける。


 そして……。


「好きやで!だから、助けた。それの何があかんの?」と、みんなの前で堂々とカミングアウトした。


 俺は、秋帆君に好きといわれて嫌な気持ちがまったく沸かなかった。

 それどころか、やっぱり秋帆君はすごいなって思った。

 だって、こんなに同級生達がいて。

 こんなに見られてるのに……。


 秋帆君の堂々とした態度に灰原は眉間に皺を寄せてから。


「だったらお前には、俺の気持ちがわかるやんけ」と吐き捨てるように秋帆君に呟く。


「嫌、わからん。だって、俺は、美月君は好きやけど……無理やり自分のものにしたいなんて思った事は、一度もないから」

 

 秋帆君の言葉に、周りにいるみんなはまたザワザワとし始めた。


「さっきから勝手に色々言ってるけどさ。最初に好きになったのは、僕だから」


ーーえっ?

 突然の告白に驚いて俺は心春君を見た。

 

 心春君は俺から手を離すと、秋帆君の胸ぐらを掴んでる灰原の手を掴んだ。


「どういう意味や?」

「そのままの意味だよ。あの日、君達に何かをされてトイレに座り込んでいた、美月君を僕は見つけた。運命だと思ったよ。だって、入学式の日に美月君を見つけてから、僕の心臓むねは毎日踊っていたんだから」


 心春君の言葉に、周りにいる同級生の女子達が泣き出した。


「美澄も、そっちなん?」

「なんでなん、いやや」

「うわーー。めっちゃショック」


 周囲の言葉など気にしていない灰原は


「お前なんか一回も、美月を助けへんかったやんけ」と叫んだ。


「それは、僕が秋帆にお願いしたからだよ。僕はずっと美月君に嫌われるのが怖かった。それに、あの場所で助けたらきっと自分の気持ちに嘘がつけなくなるってわかっていた。わかっていたから、秋帆にお願いしたんだ。だから、さっきの君の言葉は間違いだよ。秋帆が美月君を好きだって事に気づいたのは、中学生の頃じゃないから」


 心春君の言葉にみんなはさらにざわつく。

 数人の女子達が、泣いて会場を去って行く姿も見える。

 あの人達は、きっと心春君と秋帆君との再会にかけていたんだろう。

 大人になった自分達を見て欲しかったんだろう。



「ふざけんな」


 ドカッ……。


 苛立ちがピークに達したのか、突然、灰原が心春君を殴りつけた。

 殴られた拍子に、心春君は床に尻餅をつく。

 

 痛そうに顔を歪めた心春君の唇の端から血がじんわりと滲んでくるのが見える。


「暴力で押さえつけるから、暴力しかふるえないんだよ」


 心春君の言葉に、さらにイライラした灰原は、もっと殴りつけようと拳を振り上げる。


「やめろや」


 その手を秋帆君が止めた。


「言っとくけどな。お前ら全員が植え付けた傷のせいで、美月君の人生はダメになったんや。見て見ぬふりしたり、陰でこそこそ言ったり、変な噂したり、そんな人間が結婚して、子供つくって、幸せになりやがって!俺はな、お前等全員を許してない。中学の頃からずっとな」


 秋帆君は、灰原や周囲の人間に叫んで、会場から出て行く。

 秋帆君に嫌われていたのがわかった女子達は、ポロポロと涙を流している。


「見つけたかった人に会えたから、僕には同窓会はもう必要ない。そもそも、僕もみんなのことが嫌いだったから」


 心春君は、俺の腕を引っ張って歩き出す。


 灰原も俺を引き寄せようとしてきたけれど、その手よりも早く心春君が引っ張ってくれた。

 灰原の顔が歪んでいくのがわかった。


 何か、俺。

 お姫様みたいや。

 心春君と歩いてると誰の視線も気にならへん。

 まるで、俺と心春君しかいないみたいや。




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