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第8話 直前最前線

「それでは...はじめ!」


その合図とともに、私は筆記テストの用紙を表に向けた。


今日は作戦直前の最終テスト。朝から夜までずっとテストだ。午前中は座学、午後から戦闘術のテストだ。


座学は基本、魔術基礎の問題しか出てこない。だが、量が尋常じゃない。


魔術を発動する方法として、高位な順に次のカッコの中を並べ替えろ、魔術術式の階級を低いものから書け、魔石具は何のためにあるか、などの問題が一枚の紙裏表にびっしり書かれている。


その問題に私は、

(術式創造、無詠唱、部分詠唱、詠唱)

(初級、中級、上級、帝級)

(自身の魔力消費を抑えるため)と答える。


ちなみに、術式創造で生み出した術式は、誤級と言われることもある。


私は表の問題を解き切り、裏の問題に移った。



「そこまで!」


その言葉とともに私はペンを机に置いた。


リミアが回答用紙を回収し、目線を回答用紙と答えを行ったり来たりさせる。


やがて採点が終わったのか、軽く息を吐いてこっちを見る。


「全問正解です。この短時間によく解き切りました。」


肩の力が一気に抜けて、思わずため息をついてしまった。


「午前のテストは終了です。お疲れ様でした。」


「後は午後だけですね。」


「そうですね。昼食をお持ちしますのでお待ちください。」


「ありがとうございます。」



昼食をとり、午後の戦闘術のテストが始まった。


「セナ様、遠慮はいりません。思い切り来てください」


「分かりました。リミアも!」


メイドが一人、天空に向かって爆発術式の詠唱を開始する。


右手で柄を軽く持ち、前傾姿勢で構える。リミアは完全に剣を抜き、前に構えている。


最初から全力で突っ込む


合図を待ち、さらに踏み込み姿勢にしていく。


今、天空に術式が上がり、爆発した。


合図と同時に私は踏み込み一気に距離を詰め、腹部を狙い突きを入れる。


だがリミアはそれを剣で受け流した。そしてその勢いで頭を狙った横からの薙ぎ払いがくる。


後ろにのけぞりそれをかわした後、私はバク宙で距離を取ると見せかけて、舞った砂埃を鉱魔術で固め足場を作り、それを蹴って突っ込む。


だがことまま行くとリミアの膝蹴りが下からくるだろう。


案の定下から膝蹴りが来た。それを左手で横から押し、軌道をそらす。


左から薙ぎ払いがうねるように迫ってきた。避けきれない。


左脇腹に激痛が走った。脇腹の中身がものすごい圧力でぐちゃぐちゃになる感じがした。


私は次の動きに移れず、地面に落ちた。


「セナ様勝負は決ま...」


「まだです。まだです!」


私は頭を狙って突きをした。だがそれは剣で弾かれる。


左手を突き出し、鉱魔術で作った棘を突き出した。


彼女は首を倒して避ける。


これで彼女は一方向にしか動けなくなった。


私は右足で彼女の足をねらって足を振った。


彼女は面食らったような表情を一瞬見せて、またいつものような顔に戻った。


今、身体を(ひね)ったことによって、さっき打たれたとこがうずく。


私はそのまま反転し、彼女の頭を膝を曲げ挟み、地面に押し倒す。


剣を突き立てようとするが弾かれ、左頬に痛みが走る。


身体とは面白いもので、特に顔を殴られると意識がそっちに持っていかれる。


その間に彼女は拘束から抜け出し距離をとった。


私は賭けに出た。


自分の描画速度でも追いつかない程の速度を出す。


ここから彼女の場所まで、およそ20メートル。


おそらくこれから書く速度と今出ているアドレナリンによる興奮状態を考えると、体感役0.02秒。


ここからはこの予測を信じて動くしかない。


一気に踏み込み、距離を詰める。


頭を狙って剣を突き出す。


当然のように防御に入るだろう。


だからそう見せ掛けて直前で狙いを腹部に変える。


彼女も反応したが、無理やり剣をねじ込んだ。


「...がっ」


彼女の口から初めて声が出た。


私はその勢いのまま押し倒し、馬乗りになって、逆手持ちの剣で彼女の喉元に切っ先を添えた。


数分間、無音になった。


二人の荒い息づかいだけが残った。


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