第6話 箱庭の化けの皮
気付けば、ここに来てもう一カ月経つ。
座学は終了し、戦闘訓練は魔術を伴うものになった。
開始の合図がなるまでの間、構えでどのように立ち回るかが決まる。
この時間の空気はとても重い。密閉感がある。外にいるのに閉じ込められている気分だ。
開始の合図とともにリミアが切りかかってくる。最初の攻撃は簡単な連撃技だがスピードが速く、7倍になった描画速度でも少し残像が見えるほどだ。
それを全てかわすと急にリミアが回転し、その勢いで頭を狙ったかかと蹴りを入れてきた。 何とかしゃがんで回避し、リミアの腹部に突きを入れようと突進した。
"そう見せかけて"、風系術式で肩を押し流すように、体を横へ弾いた。 さっきまで私の頭があった所には彼女の剣が立っていた。 地面に手をつき横に出した足を振り回すと、彼女はバク宙をし距離をとった。
「お見事です、セナ様。」
「ありがとうございます。」
「もう少し上げても良さそうですね!」
言い終わる前に彼女は突っ込んできた。
彼女の突きを首を倒し何と避けた。耳を剣が掠め、髪が何本か千切れた。
膝蹴りを入れるべく膝を振り上げたが、彼女も風系術式で横に移動し避けた。その後しゃがみ、私の軸足の膝を剣の柄頭で打ってきた。体勢を崩した私に、彼女は立ち上がり打ち込みを入れてくる。それを剣で受け止め、その剣を押される勢いを利用し彼女の背中に回り込んだ。
私は剣を突き立てるように剣を持ち振り上げた。 だけど彼女が剣を逆手に持ち替え、突き出してきた。
私は彼女の背中を蹴り、バク宙で距離をろうとした。一回転し、彼女がいる方向を見ようとした時、 目の前に剣があった。
私は下から切り上げ、剣を弾いた。 その剣を戻し鍔迫り合いになった。
彼女は少し笑っていた。 多分私も笑っていたのだろう。
力押しじゃ負ける。何か入れないと。
そうして考えていると急に彼女に足をかけられ、蹴り飛ばされた。 何度か地面を蹴り着地しとうとした時、爆裂術式が飛んできた。水系術式で作った防御膜を無理やり間に捩じ込んだお陰で、直撃はまぬがれたが、森の方まで飛ばされた。
木に足をつき彼女に斬りかかろうと、彼女の方を見た。
彼女は確かにそこにいた。 だが、ほとんど残像程度でどう構えているのか、どうくるのか分からなかった。
直後、残像が一気にこっちに向かってきた。
私は、指の間を通して、剣を回転させる。何かを弾く感触とともに音がした。
左手を突き出し、獣を捕える時に使うトラップのような形をした闇と土を掛け合わした術式を発動させ、その口を一気に閉じた。
物凄い精神を汚染される感覚で、吐き気がした。
流石にこれだけすれば...
そう思っていると、急に頭に強い衝撃が走り、視界が真白に弾け、地面に押し倒される。
馬乗りの重みが胸を潰した。
「確かに、あの魔術はとても強力です。しかしその場に相手がいなければ、意味がないです。」
リミアだった。 彼女いわく、あの時のこちらに向かってきた残像は投げた木剣だそうだ。
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訓練が終わった後、木陰で休んでいるとリミアが話しかけてきた。
「お疲れ様です、セナ様。一ヶ月でここまでの成長。流石です。」
「そんな事ないですよ。まだリミアに一度も勝ったことがないのに。」
「いいえ、この短期間で魔術を用いた戦闘をした者の話を、私はまだ一度も聞いたことがありません。自信を持ってください。」
その後、二三語交わした後、午後の訓練が始まった。
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