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第4話

朝、まだ日も上ってない頃、私は部屋を出て朝のランニングに出かけた。


城の裏手にある庭園を十週と言われたが、五週もした頃には息切れが激しく足元もフラフラしていた。

途中、何度も倒れそうになりながらもなんとか十週走りきり、余りのしんどさに座り込んでいるといつから見ていたのかリミアが寄ってきた。


「お疲れ様です、セナ様。まだ日も上ってない間から頑張られるなんて、セナ様は本当に偉いですね。」


「そんな事はないですよ。できることをやってるだけですから。」


「本当に偉いです。この後は一度シャワーでも浴びて汗を流されてはどうですか?」


「そうさせて貰います。汗で服が気持ち悪くて。」


「替えの服も用意しておきます。」


その後、リミアは私の替えの服を取りに行き、私は一人でシャワールームに向かった。



シャワーを終え、リミアが持ってきてくれた服に着替えると私は中庭へと向かった。

リミアが渡してきた木剣を受け取り、今日の戦闘術の授業が始まった。


「セナ様、朝のランニングお疲れ様でした。日に日に体力が増えて本当にすごいです。ですが、持久力だけではあの者には勝てません。説明するより見せた方が早いでしょう。」


そう言い、リミアは魔術で地面から木の丸太を生やした。


「今から見せるものは対勇者戦で生死に関わってきます。絶対に、習得してください。

では..行きます。」


リミアが木剣を構え、息を整え、踏み込んだ。そこまでは分かった。


別に瞬きした訳じゃない。


本当に何も見え無かったのだ。


踏み込んだ次の瞬間にはリミアは丸太に木剣を当てていた。


リミアが立っていた場所は丸太から十メートルは離れていた。その距離を一瞬で詰めたのだ。


"何が起こったのか分からない"


それしか言葉が出てこなかった。


リミアは深いため息を付きこちらを向いた。


「今私がやったこと、これをできるようになり、視認できるようになってもらいます。」


何を言われたか分からなかった。


あれを? 私が? できるはずが無い。 まず、何が起こったのか分からなかったのだから。


「すみません。先生は、今、何をしたんですか?」


「確かに、説明無しでは何をしたのか分からないですよね。まぁ、"それを狙っている"のですが。 今私がした事は簡単に言えば、物凄く速く動いた。それだけです。ただ、セナ様がその目で見ている画と画の間に移動したというだけです。これを見えるようになって貰うために、"その目の描画速度"を上げ、その増えた情報量を処理しきれる"脳の処理能力"を鍛えるという事です。」


困惑した。


「どうやって、描画速度を上げるんですか? どうやって、脳の処理速度を上げるんですか?」


「こればかりはやってれば上がる、ということではありません。生物には"限界の描画速度"

というものがあります。それを超える速度が必要なのですから、セナ様自信が魔力で脳を触る他、手がありません。処理速度は、描画速度が上がれば最初はその情報量に耐えれず、上げては失神を繰り返すでしょうが、適応してくるでしょう。」


「私、脳なんて、触ったことありません。まだ魔力も上手く扱えないのに、もし、失敗したら..」


「大丈夫です。もしセナ様が失敗しても私が治しますから。この行為にはセナ様の魔力制御技術向上のための訓練でもあります。大切なのは、まずやってみることです。ほら、ここに座って。細くした魔力で少し細胞を動かすイメージで。」


そう言われながら、私は恐る恐る、細い魔力で細胞を動かした。

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