第14話
「おはよ、アルタ。」
返事はない。気づいてるけどしない。これが彼の性格だ。
どうしてこれが勇者になったのかわからない。人間は物好きだなー、と回らない起きたての頭で考えながら朝食のパンを齧る。
ここに来てから一週間が経った。
あれから剣は降っていない。戦闘もしていない。魔術はたまに使うが、アルタはつくづく私を甘やかしてくる。
まるで、攫われる前の暮らしのようだ。
「今日、買い物に行かないか?」
おはようは返さないのにそんなことは聞いてくるのか。
「どうして?」
「お前も、いつまでも俺のお古のぼろ布じゃ嫌だろう?」
「別に。」
軍にいた頃も似たような服だった。生活に支障はない。
「そうか。じゃあ言い方を変えよう。俺の買い物に付き合ってくれ。」
「一人で行ってきて。」
「はぁ、そういうよな。仕方ない。これは命令だ。俺の買い物に付き合え。」
私は、特に異論もなく頷いた。
「よし、今から一時間後に出る。いいな?」
また頷いて返す。私は残りのパンを食べ切り、支度に移った。
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丁度一時間後、私たちは市場に出かけた。
市場内は人間で溢れかえっている。彼から聞いたが魔王は殺された。彼の手によって。
魔王が死に、戦争が終わったとはいえ、まだ緊張が解けないらしい。だが、方向性はどちらも世界平和。人界と魔界の境をなくす方に向かっているらしい。
条約が結ばれ、日数がたてば時期にこちらにも魔物が来るそうだ。だが最初の方はどうしても差別が起きることもあるだろう。
そういうことを防ぐために、私は彼に角を切り落とされた。
もちろん私の許可を得てだ。今の私は他人から見れば人と変わらない見た目をしている。
もう角のせい長は止まっている。これから人として生きていくことになるだろう。
このまま行けば。




