第12話
ここは、どこだろう。
深い。苦しい。辛い。
何もしたくない。もう、何もやりたくない。
苦しい。
このまま、一生ここで、溺れていたい。
このまま、堕ちていきたい。
「セナ様」
リミア?生きていたの?よかった。けれどごめんなさい。私は死んでしまった。
証拠に、今、死海に堕ちている。
ごめんなさい。あなたを裏切ってしまって。
「セナ様」
本当は分かっている。
「セナ様」
私を呼ぶこの声も、ただの私の記憶。
「セナ様」
あの時、あの時、呼ばれた時が蘇っていく。
おかしいの、海に堕ちているのに、涙が出る。頬を伝う感覚がある。
「セナ様」
もっと生きていたかった。色々なものを見たかった。
「セナ様」
あぁ、私は、私は...
「セナ様はまだ生きています。さぁ、立って。」
突如としてこ、れまでなかった肺を水が満たす苦しい感覚と同時に自分の口から大量の空気が出てきた。
苦しい
そんな感覚を最後に、私の意識は途絶えた。
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目が覚めると知らない場所にいた。
ここはどこだろう。私の体は、誰がかけてくれたのか分からない布団に入っていた。
布団から出ると、すっと冷気が肌を刺してきて、身震いした。
私は、何も纏っていなかった。
ふと思い出し、左腕を見る。そういえばあいつ、勇者の剣を受けた時に切り飛ばされた左腕が戻っている。
それに、右足、右目、左耳、背中の切られた後が治っている。
あたりを見渡す。折られた剣はなかった。
部屋は一般的な民家のようだ。この家に住むものが、ただの平民ならなぜ鬼人である私を助けたのか。
部屋を出て廊下を進み、階段を降りると、暖炉があった。
冷えた体を温める熱に身を任せていると、後ろから声がした。
「起きたか。」
あの時に、私を瀕死まで持って行った、あの声が。
振り向くと、そこには勇者がいた。
どうして?可能性としてはあったが理由が分からない。
思わず身構えてしまう。
「まぁそんな身構えるな。お前の質問にはできる限り答えよう。」
この男をどれだけ信じていいのか分からない。まだ緊張を解けない。
「ここは、どこですか?」
「俺の家だ。」
「いや、そう言うことじゃなくて。」
「あーそう言うことね。ここは人界、中間と端の間にある最大の商業都市。サライナだ。言っちゃえば俺の故郷だ。」




