第10話
「リミア、あれは何ですか?」
ある日彼女、セナ様は私に聞いてきた。
彼女の指さす先には、人の行列ができていた。
しかし、並んでいる者たちには、手枷首輪が付けられ、それらが鎖で繋げられている。
奴隷だ。
捕虜だ。
そんなことも聞いてくる。
初めて会った頃からだった。
彼女はこの世界に対して、とても無知だ。
ここにつれて来られてから、初めてのものばかりだろう。
しかし、ここでは残酷なものばかりだろう。
それを見て、彼女はどう思うのだろう。
何となくは分かる。
かつての自分がそうだったように。
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彼女の成長スピードは桁違いだった。
描画速度は私をも超え、最後には私にも勝った。
いや、最後の最後で私は失敗した。
最後の最後で私は手加減した。
わざと負けた。
彼女には、勝てる、生き残れるという自信が必要だと感じたからだ。
その甘さが故に、彼女を死なせてしまった。殺してしまった。
その証拠に、目の前には勇者がいる。その着ている服に、微かに彼女の臭いがする。
「久しぶりですね。勇者アルタ。あの時戦った以来ですかね。」
彼は静かに。しかし確実に空気を変えていった。
「そうだな。最近の調子はどうだ?」
「まぁまぁですね。あなたはどうですか?」
「見ての通りボロボロだよ。途中何人か強いのがいてね。とても苦戦したよ。」
よく言う。実際ボロボロなのは纏っているローブだけで、肉体的なダメージはゼロに等しいだろう。
「その苦戦した相手の中に、鬼人の子はいますか?」
「さぁ。忘れたな。なんせ、相手の特徴を覚える暇すらなかったもので。それより、こんな長話していて、上には怒られないのか?」
「そうですね。これ以上は減給になってしまいます。」
一度、深呼吸をした。
覚悟は決まった。
「そろそろ、始めましょうか。」




