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第2話:神楽坂梨奈

――スポットライトを浴びる舞台袖で、私は腕を組んで見ていた。

完璧なRICO×NAOYAのパフォーマンス。フェリシテのブランド価値は急上昇、業績だってこの勢いなら文句なし。社長としては、もう笑いが止まらないはず。


……なのに。


「ほんっとムカつく」

心の奥では舌打ちしていた。


久しぶりにナオヤさんと、ちゃんと話せると思ってた。

少しでも二人きりでご飯でも食べられたらって――それだけが、今日まで頑張ってきた事のご褒美だったのに。


よりによって、あの電報堂の女営業たち。五井物産の広報とつるんで、RICOとナオヤさんを銀座に連れ去るなんて。

何それ。私が今日一番楽しみにしてた時間を、あんな連中に奪われるとか。バカにしてんの?

挙句の果てにフェリシテの広報まで嬉々として同行するとか、マジ萎える。


もう会社の人間なんか見たくもない。

私の気持ちを分かってくれない幹部に頭を下げられても鬱陶しいだけ。


だから私は一人、渋谷の街を歩いた。

煌びやかなネオンの中、適当に扉を開けたのが――スナック小片谷だった。


カウンターの椅子に腰を下ろす。

ハイボールのグラスを受け取って、一口。

喉に落ちていく冷たさが、逆に胸を熱くする。


「ナオヤさん……どうせまた女に囲まれてるんだろうな」

呟きながら、私はグラスを揺らした。


でもどうせ無駄なんだよね。


だって、ナオヤさんの義妹は、あの保奈美ちゃんだよ。

あの子はヤバい。


だってもう天使。

私から見ても超絶美人。

そしてあの子がナオヤさんを見つめる眼差しでもう私は分かったの。


これはムリゲー。


あの子が勝ち。

もう他のオンナには、ほとんど可能性無いよ。

もうだって全てをナオヤさんに捧げる強い覚悟があるもの。

あんな超絶美人がだよ。

しかもナオヤさんがその保奈美ちゃんに向けている眼差しもヤバい。


義兄妹って言っても血の繋がりは全くない。

ナオヤさんが真面目すぎ、誠実すぎだからってだけ。

でもあの子もいずれ大人になる。

――その時点でジ・エンドだよ。


唯一勝てるとしたらRICOだけだろうね。

RICOがナオヤさんに向けてる眼差しもマジヤバい。

RICOの音楽にかけている覚悟と情熱は私が一番分かっているつもり。

でもそれ以上の思いが、あの眼差しには込められている。

池袋の茶番劇で、「愛してる」ってナオヤさんに向かって叫んだRICO。

ムリゲーでも逆転できるのは、結局はこういうオンナなんだよね。


それが分からないオンナがナオキさんの周りを泳ぐ。

バカ、バカ、バカだよね。


まぁ……でも諦められないオンナが多そうだな。

ナオキさんヤバすぎ。マジ萎えるよ……。


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