表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/20

プロローグ:カラオケスナック小片谷ママ

 私ながいことオンナやっているけど、もう最近のオンナは本当にダメね。

 ……ハッキリ言ってヤバいわ。


 ここ、渋谷にカラオケスナックを立ち上げて、かれこれ30年になるかしら。

 私のいとこはサンノゼで同じ様なスナックをやっているらしいわ。

 でも、つい最近、オトコの中には見所がある人はいるって言ってきたの。

 ただ、ここ渋谷ビットバレーでみている限り、少なくともオンナについては、もう地雷なケースしかないの。


 何がヤバいって、そもそもオンナがカラオケで歌うと、えてして『自分の思うオトコ』について歌ってしまっているのに、その自覚がまるでないって事よ。

 オンナがカラオケにオトコ同伴もなく来ているって、結局は相手のオトコが別のオンナのところに居るとか、仕事を理由にしてスルーしているって事じゃない?


 でも、それがイヤっていうなら、レディーとしての立ち居振る舞いってやつが必要なの。

 つまりオトコを幸せにするって事。

 もちろん愛するオトコが幸せなくらいなんだから、そんなオトコと一緒にいるオンナも本来なら幸せな筈だし、結局は一緒に幸せな時間を過ごすって事が肝心なのよ。


 ところが、オンナだけでカラオケ歌う連中のほとんどは、自分の気持ちアピールをするだけ。

 哀しい自慰行為ね。

 自分の気持ちを相手に本当に伝える力量も、覚悟も、せめてものオトコへのご奉仕精神すらも、そこには皆無。


 サイバーのオンナもダメ。

 十九なんて鉄道から不動産までオンナは全部ダメ。

 ネットベンチャーのオンナなんてもっとダメ。

 結局この店に来るオンナどもは、表面的な『仕事』はできたとしても、オトコを虜にする能力という意味では負け犬ばかり。


 挙げ句の果には、嫌がるのを無理やり連れてこられた男性社員をホスト扱いして、愚痴聞き係状態よ。

 そんなの、欧米社会でやってごらんなさい。

 一発解雇のレッドカード。ムショ暮らし一直線ってヤツね。


 今日も期待なんてしてないわ。

 夜になって突然電話で予約なんて。

 五井物産?

 総合商社の中の総合商社?

 エリート中のエリート?

 どうせお高くとまったつまんない連中でしょ。

 わざわざ予約まで入れて、奥のステージブース貸し切りってさ。

 ふふっ、どんだけ〜の見世物を出せるってのよ。

 滑稽極まりないわ。


 ホント、渋谷ビットバレーに来るオンナの客層もすっかり落ちた。

 ITバブルの前までは、まだ本気のオンナも多かった。

 でも最近はキラキラに憧れているだけの勘違いした連中か、その勘違い連中をカモにする連中か、要するにそんなのばかりよ。


 え? 五井物産主導で大型プロジェクトのイベントが今日渋谷であるって?

 ――ま、そりゃ会社の図体はでかいんだから、それくらいはあってもいいんじゃない?

 アパレルブランドまで巻き込む一大プロジェクト?

 ――ああ、先日なんかカラオケ対戦していたって言っていたわね。

 なんで、わざわざ池袋でカラオケ対決やるんだか。

 昔『池袋ウエストサイドストリートギャング』ってドラマなかったっけ?

 ――違うか。


 まぁ、少なくとも『仕事』は出来るって事かしらね?

 でもさ、それは、所詮はデスクワークだけって事よ。

 『オンナのお作法』が出来るって証拠にはならないわ。

 そして、私が言っているのは、その『オンナのお作法』が出来るかどうかって事よ。

 それ、それが大切なの。


 ま、たしかにグダグダ言っていても始まらないわね。

 もう夕方だし、そろそろネオンサイン点けてちょうだい。

 さぁ、軽く掃除して、開店準備しましょ。

 どんなにお粗末な客だからといって、お店として手抜きは絶対しない。

 それが私のポリシーよ。


 さぁ、まぁあんたがそこまで言うなら、ちょっとだけ期待して見てみるわ。

 その五井物産の実力ってヤツを。


※本編はカクヨムにも掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ