キム・ジュアが生きた証 (7)
一緒にメッセージを見たジスは身をすくめて言った。
「何よ。こんなメッセージが来たんだけど?」
午後3時26分に不整脈の発作が起きるという内容に、私はジスを疑った。
普段私のすべてを知っているジスは、時々いたずらを仕掛けてくる。この種のいたずらは初めてだが、ジスが仕掛けたいたずらだと考えるのが、ある意味当然だった。
あの人があんなメッセージを送るはずがないから。
「ジス。あんたが送ったんでしょ?」
「違うよ。」
「冗談やめてよ。あんた私の携帯のパスワード全部知ってるじゃない。あの人の番号でメッセージ、あんたが送ったんじゃないの?」
「本当に違うよ。私がこんなことで冗談を言うはずないじゃない。」
私が深刻な表情を浮かべると、ジスもまた硬い顔で私にソンフンについて尋ねてきた。
「この人、医者なの?いや、医者だとしても不整脈の発作が起きるのが分かるの?」
「そんなことはないでしょ?そこまでは分からないんじゃないかな?電話してこれってどういう内容なのか聞いてみようか?」
私の問いにジスは首を横に振りながら言った。
「いや、私今、全身に鳥肌が立ったよ。」
「どうして?」
「あんたが屋上で風に当たりたくて上がって、その時に会ったって言ってたじゃない?その時、あんたに飛び降りろって言ったって。」
確かに日記にはそう書いてあった。
私は自分が死にたかったということは日記に残していなかった。だからジスは私が死のうとしていたという事実を知らない。
私は日記にどう書いたんだっけ?
確かこう書いてあったはずだ。
風に当たりに上がったら、ある男がパノラマ写真を撮るのに邪魔だからどけって。死ぬなら俺が写真を撮ってから死ねって言ったって。
確かにこれは私が事実を歪曲したのは間違いない。
しかし、それをそのままジスに説明することはできなかった。
ジスは私にとって大切な人だ。だからこそ、自分の本心をこれ以上悟られるわけにはいかない。
それはジスにとって一生心に深く刻まれる傷になるだろう。
「ジス。それは冗談だよ。」
「最初は分からなかったけど、変だよ。メッセージ見たら分かる。そんな冗談を言う人がどこにいるのよ。あんたは病人じゃない。病人に飛び降りろなんて冗談を言う人がまともなの?この人変だよ。」
「……。」
「しかもあんたの介護士なのに、病院にいるべきあんたを映画館に連れて行ったり、公園に連れて行ったり、麻辣湯を食べに行ったり。本当は自分が映画を見たかったり、麻辣湯を食べたかったり、病院で仕事したくないけどお金はもらいたいから公園に連れて行ったんじゃないの?」
ジスの疑いに何も言えなかった。
するとジスはさらに自分の考えを確固たるものにしたようだった。
「この人、あんたの役に立たない人みたいだよ。介護士としての職業意識も足りないみたいだし、ご両親に話して月曜日からは替えてもらう方がいいと思う。」
「そこまでは…。」
「替えるべきだよ。私はこんな変な人があんたのそばにいるのは嫌だ。心から介護しても足りないのに、こんな勝手な人で冗談ばかり言う人があんたの介護士だなんて信じられない。罪悪感からなら、私が両親に話すから。」
ちょうどその時、両親が病院に来て、ジスはソンフンに対する自分の考えを伝えた。
ジスの話を聞いた母は、それ以上悩むこともなく介護士を別の人に変えることを決定し、そんな母の言葉に父も分かったと同意した。
また、医者まで呼んでソンフンについて尋ねた。
医者は不整脈の発作を予告した午後3時26分という時間について、不整脈が起きる時間まで正確に予測することは不可能であり、ソンフンは医者どころか看護教育も受けていないただの介護士であり、介護士資格は民間資格で医者や看護師のように専門的な教育を受けた人々では決してなく、彼らは医学的な教育をまともに受けていないので冗談のような見解を伝えた。
医者までそう言うと、もはや引き返すことはできなくなった。
私はソンフンに連絡しようとしたが、両親とジスが猛反対し、母がソンフンが所属する介護士協会に電話をかけ、ソンフンを解雇して代わりに別の人を送ってもらうことで一件落着した。
しばらくして、看護師のお姉さんが昼食と一緒に診断表を持ってきて言った。
「ジュア。ご飯食べて、時間があったらこの診断表を記入してくれる?」
「はい。」
診断表には、今週過ごした間に感じた痛みの回数と強度を記入するようになっていた。
私が書いた診断表を見た母と父は微笑んだ。
「そういえば今週は痛みがだいぶ減ったわね。痛くなかった?」
「良くなってるみたいだね?」
「そうね。早く治って、うちのジュアも早くジスみたいに学校に通えるといいわね。ね、ジュア?」
母と父の言葉に、どうしても答えが出なかった。
正直に言って、心臓病はすぐに良くならない。特に私のように4年目になる人間はなおさらだ。
医者も言っていた。
私の心臓は運動に適していないと。心拍数が増加しても心臓内の血液の流れが速くならず、すぐに疲れてしまい、時には呼吸困難になって心臓が痛むと。
さらに私の足と腕は、知らないうちにパンパンにむくむ。
専門用語で浮腫というらしい。
数日経てば元に戻るが、心臓に少しでも問題があると、翌日には必ずパンパンにむくんだ足と腕を見ることになる。
そんな時は歩くのも辛いから車椅子があるわけで、それを母と父が知らないはずがないのに、根拠のない希望を抱いているので、どうしても笑うことができないのだ。
「お母さん、私、ちょっとジスと外に出てもいい?」
「外?出たら風邪ひくかもしれないわよ。」
「ひかない。大丈夫。日光に当たりたいの。ジスと病院の前にだけいるから。上着もちゃんと着るから。1時間だけ。ね?」
「お母さんも一緒に出ようか?」
「ううん。ジスと二人で話したいことがあるの。大丈夫でしょ?ここからも病院の前は全部見えるから、お母さんに見える場所にいるから。」
母はしばらく考えてから、分かったと頷いた。
私はジスが押してくれた車椅子に乗って病院の外に出た。
「ジュア。今日、天気、本当に良いね。ね?」
「……。」
「ジュア?ジュア!泣いてるの?」
ジスはびっくりした。
私が涙を流していたからだった。母と父の期待に応えたいけれど、それができないと知っているから、あまりに悲しくて流した涙だった。
「ごめん…私、少しだけ泣かせて。本当にごめん。」
「ううん。痛いんじゃないでしょ?痛いなら病院の中に戻って。」
「痛くて泣いてるんじゃない。」
「ウェットティッシュ、これ使いなよ。これで涙拭いて。」
「ありがとう。」
最大限感情を落ち着かせようと努力した。しかし、私は間違っていた。私の心臓は私が望んだからといって治るわけではない。これは私が努力してどうなる問題ではないのだ。
ゆえに、母と父の期待を絶対に満たすことはできないので、感情のコントロールができなかった。
私が急に泣いた理由についてジスが問い詰めた。
しかし私は母と父を非難したくなかった。
母と父が間違ったわけではない。これは私が間違ったのだから。
私が両親の期待に応えられないのだから。
だから答えなかった。自分の感情に正直になれなかった。
「ただあまりに嬉しくてそうだったの。こんな日常的な活動がしたくて。みんな幸せそうに見えるじゃない。」
私の答えに安心したジスは口元に笑みを浮かべた。
「それで泣いたの?」
「うん。」
「びっくりしたじゃない。」
よかった。ジスは私の言葉を疑わなかった。しかし、もしもう一度こんなことが起こったら、愛する人たちに幸せな私の最期を見せて別れるという完璧な計画はバレてしまうかもしれない。
「私、ちょっとトイレに行ってくる。」
「うん。一緒に行こう。」
「ううん。一人で行ってくる。車椅子なくても大丈夫。」
車椅子から立ち上がった後、私は一人でトイレに向かった。自分の感情を立て直し、幸せそうな私に戻るためだ。一人の時間を持って考えを整理すれば、私はジスと両親に完璧なハッピーエンドを贈ることができるだろう。
私は一人でトイレに入った後、鏡を見ながら決心した。
今日にでも計画を実行しなければならないと。
だから母と父がこれ以上私によって心配したり期待したりすることがないようにすると。