君と僕の最初で最後の物語
私は韓国の小説家です。
韓国で出版された小説を、翻訳の助けを借りて連載しています。
最後まで無料で連載する予定ですので、たくさんの応援よろしくお願いします!
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2024年6月23日、夏。
ソウル・カンナムの中心にあるコンチネンタル病院。
今日、私は心臓移植手術を受ける予定だった。
植物状態になった人が生前に臓器提供に同意してくれたおかげだった。
だが、その手術は行うことができなかった。
提供者の家族がその決定を撤回したからだ。
誰もその家族を責めることはできなかった。責めるべきではなかった。
でも、「生きられる」という希望が「絶望」に変わったという事実だけは、受け入れるしかなかった。
私に残された余命は、たったの3ヶ月。
私の心臓は、確実に止まりかけていた。
「キム・ジュア、泣いてるのか?」
「ううん。」
「泣いてるじゃん。すすり泣く声、こっちまで聞こえてるぞ。」
ソンフンの言葉に、私は袖で涙を拭きながら言った。
「泣いてない。泣いてなんかないよ。」
するとソンフンは、私に聞かせるように大きな声で言った。
「お前は死なない。絶対に死なせないから。」
「……」
彼は私を強く抱きしめて言った。
「これからお前にぴったり合う新しい心臓を探しに行く。
何があっても、必ず見つけてくる。
だからそれまで、悲しまないで待ってて。
もう“死のう”なんて考えるな。いいな?」
「うん。わかった。」
あの日の記憶は、忘れたくても忘れられない。
私にとって、そして私たちにとって、あの日は「終わり」であり「始まり」でもあったのだから。