第23話 リベンジマッチ! 進化した力と絆を見せてやる!
パワーアップ大作戦が始まってから、しばらくの月日が流れた。俺たちのアパートでの生活は、相変わらずドタバタだったけれど、そこには確かな変化があった。
リコは俺がバイト代をはたいて買ったトンファーをすっかり使いこなし、その動きは以前にも増して鋭さと力強さを兼ね備えていた。
シズクは精神統一の訓練と研究を重ね、その瞳には以前のような迷いはなく、静かな自信が宿っているように見える。
そしてルナ(猫)も、納豆パワー(?)のおかげか、僅かながらも魔力が安定してきたようだ。
俺? 俺はバイトとサポートに明け暮れ、相変わらずだけどな!
そんなある休日の夕暮れ時。特売の卵をゲットすべく、俺とリコ、そしてシズク(ルナは留守番)で近所のスーパーへ買い出しに出かけた帰り道だった。日が落ちて、公園の木々が長い影を落とし始めている。そろそろアパートに帰って夕飯の準備を……と考えていた、その時。
「!」
リコとシズクが同時に足を止め、鋭い視線を前方に向ける。俺も嫌な予感を覚え、身構えた。
公園の出口、街灯の頼りない光の下に、二つの人影が立っていた。
「おやおや、お待ちしておりましたよ」
蛇のような目つきの男、レイヴン。
「……」
その隣には、無言で殺気を放つ、黒装束の女。
間違いない、前回俺たちを苦しめた追手コンビだ!
「またあなたたちですか! 今度は逃がしませんよ!」
リコがトンファーを両手に構え、戦闘態勢に入る。赤茶色の犬耳がピンと立ち、ふさふさの尻尾が警戒するように逆立っている(ように見える)。
「二度も我々の前に現れるとは……よほど覚悟ができているようですね」
シズクも冷静に言い放ち、懐から取り出したお守り(触媒)を握りしめる。その紫色の瞳は、氷のように冷徹な光を宿していた。
「ふん、少しは見られるようになったかな? 番犬くん、狐さん。だが、結果は同じことだ」
レイヴンが嘲るように言うと、黒装束の女と共に、音もなくこちらへ距離を詰めてくる!
「今度は負けません!」
リコが叫び、地を蹴った! トンファーを構え、レイヴンへと突進する!
「相川殿、後方支援を!」
シズクの声と共に、俺は買い物袋を放り出し、近くの茂みへと駆け込む! 直接戦えない俺にできるのは、サポートと状況判断だ!
「前回と同じと思うなよ!」
リコはトンファーを巧みに回転させ、レイヴンのガントレット攻撃を受け流し、いなし、そしてカウンターの鋭い打撃を叩き込む! 以前のように力で押されることなく、互角以上に渡り合っている!
「なっ!? この動き……!」
レイヴンが驚愕の声を上げる。
一方、シズクは黒装束の女と対峙していた。
「……あなたの術は、もう通用しません」
黒装束の女が再び精神攻撃の魔術を放つが、シズクは眉一つ動かさない。彼女の周りには、お守りを中心とした淡い光の結界が展開され、邪悪な波動を完全に弾き返していた!
「言霊・縛!」
シズクが凛とした声で唱えると、黒装束の女の足元に目に見えない鎖のような力が絡みつき、動きを鈍らせる!
「な……!?」
初めて動揺を見せる黒装束の女。
「リコ、今だ! 右から崩せ!」
俺が茂みの中から叫ぶ!
「はい、主殿!」
リコは俺の声に応え、トンファーに体重を乗せた強烈な一撃をレイヴンの脇腹へ!
「ぐぅっ!」
たまらず後退するレイヴン!
「シズク! 援護頼む!」
「承知! 言霊・砕!」
シズクの言霊が、レイヴンの纏う闇のオーラをわずかに打ち砕く!
そして、リコが大きく息を吸い込んだ!
「これがお父……主殿と編み出した、わたくしの全力です! 新必殺技! 『わんわんラッッッシュ!!!』」
リコは雄叫びと共に、トンファーによる怒涛の連続攻撃をレイヴンに叩き込んだ! ドガガガガッ! と凄まじい打撃音が公園に響き渡る!
「がはっ……!!」
わんわんラッシュ(ネーミングはどうかと思うが威力は本物だ!)をまともに食らったレイヴンは、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
残るは黒装束の女!
「おのれ……!」
女は短剣を構え直し、シズクに襲い掛かろうとするが、シズクは冷静だった。
「あなたの動きは、既に見切りました」
シズクは印を結び、新たな攻撃術(それはまるで、小さな狐火のような霊的エネルギー弾だった)を放つ! エネルギー弾は正確に黒装束の女の懐に飛び込み、爆ぜた!
「きゃああっ!」
女は短い悲鳴を上げ、吹き飛ばされて気を失ったようだ。
……勝った! あの強敵コンビに、俺たちが勝ったんだ!
「やった……! やりましたーっ!! 主殿ーっ!!」
勝利の瞬間、リコが満面の笑みで俺に飛びついてきた! トンファーを放り出し、全力で抱きついてくる!
「うおっ!? わ、分かった、分かったから! 嬉しいのは分かるけど、重い!」
俺は嬉しい悲鳴を上げながら、リコの温もりと柔らかさにドキドキが止まらない!
「……健太殿」
いつの間にか隣に来ていたシズクが、静かに俺の名前を呼んだ。その表情は安堵に満ちていて、瞳には確かな信頼と…それ以上の熱い感情が宿っているように見えた。
「あなたのおかげです。ありがとうございます」
そう言って、彼女は小さく、だがはっきりと微笑んだ。その破壊力は、わんわんラッシュ以上だったかもしれない……。
「ふん、まあまあじゃな。妾の援護も効いたようじゃの」
いつの間にか近くまで来ていたルナ(猫)が、満足げに尻尾を揺らしている。(援護してたか……? まあ、いいか!)
因縁の相手を、仲間との連携で見事に打ち破った。パワーアップの成果は確かだった。そして何より、俺たちの絆が、勝利を呼び込んだのだ。
倒れた追手二人をどうするか、という新たな問題は発生したが、今はまず、この勝利の喜びを分かち合いたい。
だが、これはまだ終わりじゃない。きっと、もっと強い敵が待ち受けているはずだ。
俺は、抱きついてくるリコと、微笑むシズク、そして誇らしげなルナを見ながら、次なる戦いへの決意を新たにするのだった。
(続く)
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