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第11話 いざ神域へ! 鳥居の向こうは別世界?

「つ、着いたぁ……!」


 目的地の駅に電車が滑り込み、ドアが開いた瞬間、俺は心の底から安堵のため息を漏らした。長かった…精神的にめちゃくちゃ長かったぞ、この電車移動!


「着きましたね、主殿!」

 隣ではリコが、解放感からか座席からぴょんと飛び上がり、大きく伸びをしていた。おい、パーカーの中で尻尾が動いてるぞ!バレるだろ!


「所要時間、ほぼ予定通りですね。日本の鉄道システムの正確性は素晴らしいです」

 シズクはスマホの時計を確認し、満足げに頷いている。ルナはキャリーバッグの中で「やっと出られるのか…体が固まってしもうたわ…」と文句を言いつつも、少しホッとしたような声色だ。


 俺たちは人の流れに乗ってホームに降り立ち、改札を抜ける。平日の昼前だからか、駅前はそこそこの賑わいを見せている。よし、ここから神社までは徒歩だ。シズクが事前にダウンロードしておいた地図アプリを頼りに、俺たちは目的地へと歩き始めた。


 駅前ロータリーを抜け、昔ながらの商店街へと入る。


「主殿! あの丸くて茶色いお菓子は何ですか? 甘くて香ばしい匂いがします!」(たい焼き屋に釘付けのリコ)


「ふむ、このアーケードの構造…採光と雨除けを両立させた合理的な設計ですね」(商店街の天井を見上げるシズク)


「おい、寄り道しない! まっすぐ歩け!」


 俺は二人の興味を必死に逸らし、先を急ぐ。早くしないと、リコがたい焼き屋に突撃しかねん!


 しばらく歩くと、賑やかだった商店街を抜け、静かな住宅街へと入った。古い家と新しい家が混在する、どこか落ち着いた雰囲気の道だ。そして、さらに進むと…明らかに空気が変わったのを感じた。


 ひんやりと澄んだような、それでいてどこか厳かな空気。


「おお…! なんだか空気が綺麗になった気がします! きっと、神聖な場所が近いんですね!」

 リコが期待に満ちた声で言う。その頭の犬耳が、ぴこぴことアンテナのように動いている気がした。


「ええ。周囲の環境と比較して、明らかに清浄なエネルギーの流れを感知します。これが『神域』と呼ばれるものでしょうか」

 シズクも同意し、その切れ長の目を細めて前方を見据える。


 ルナもキャリーバッグの中から「ふん、ようやくか。少しはマシな空気が吸えそうじゃの」と、心なしか機嫌が良さそうだ。


 そして、道の先にそれが見えてきた。

 どっしりとそびえ立つ、巨大な朱色の鳥居。


「「おお……!」」

 思わず、リコとシズクの声がハモった。俺も、普段見慣れているはずの神社の鳥居が、今日はなんだか特別なものに見える。その存在感、威圧感に、自然と背筋が伸びる思いだ。


 鳥居の両脇には、いかつい顔をした狛犬が鎮座している。


「大きいですね…! この門をくぐれば、神様の領域…!」

 リコは少し緊張した面持ちで鳥居を見上げる。


「この石像…犬に似ていますが、我々の世界の聖獣にも通じる威厳を感じます。素材は花崗岩でしょうか…風化具合から見て、相当な年代物と推察されますね」

 シズクは早速、狛犬の材質分析を始めていた。ブレないな、お前は。


「まあ、とりあえず入るぞ。その前に、手水舎ちょうずやで手を清めるのが作法だ。ちゃんと見て覚えとけよ」

 俺は鳥居のすぐ脇にある手水舎へと三人(と一匹)を促した。


 柄杓ひしゃくを手に取り、まずは俺が見本を見せる。左手、右手、口をすすいで(真似しなくていいぞ、と付け加える)、最後に柄杓の柄を清める。


「はい、やってみろ」

「は、はい!」


 リコは真剣な顔つきで、ぎこちないながらも俺の真似をする。


「こう…ですか、主殿? なんだか、心が洗われるような気がします!」

 うん、まあ、気持ちは分かる。


 一方、シズクは。

「なるほど。流水による物理的及び象徴的な浄化儀式ですね。理にかなっています」

とか呟きながら、驚くほど流麗で完璧な所作で手を清めていた。お前、いつの間に予習したんだ!?


 俺は二人の対照的な様子に内心苦笑しつつ、改めて身も心も引き締まるのを感じた。


「よし、行くぞ」

 手を清め終え、いよいよ俺たちは鳥居をくぐり、玉砂利が敷き詰められた参道へと足を踏み入れた。

 サリ、サリ、と玉砂利を踏む音だけが静かに響く。周囲は高い木々に囲まれ、街の喧騒はもう聞こえない。漂ってくるのは、土と緑の匂い、そして微かに線香のような香り…?


 異世界から来たケモミミたちにとって、この空気、この光景、全てが初めての体験だろう。リコもシズクも、どこか緊張した面持ちで周囲を見回している。


 神社の神聖な空気が、俺たちを包み込む。

 果たして、この場所は、俺たちが求める力を与えてくれるのだろうか?

 そして、この静寂の先に、一体何が待ち受けているのか…?


 俺たちのパワースポット探索は、いよいよ本番を迎えようとしていた。


(続く)

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お読みいただきありがとうございました。

この作品をオーディオブック化してみました。

良ければ聴いてください。

https://youtu.be/VCuoImMK8WM


ルナ様(人間スタイル)のイラスト付き【AIイラスト】

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