プロローグ
不定期更新になると思うけどよろしくね
珍しく空に雲ひとつない快晴だった。
心の雲を消し去るほど清々しい天気に、今自分の置かれている状況を忘れそうになる。
「お姉ちゃん、私たち本当に行くんだね」
「……そうだね」
しかし、現実に引き戻される。
右手には、まだ7歳になったばかりの妹の手。小さくて、私ですらか弱いと認める程の幼さ。
妹の手は微かに震えていた。これから自分たちが踏みしめる未知への恐れからであろうか。
そう思うと、私も身震いしてしまう。
「シャキッとしなさい、私たちは人類の希望を背負っているのよ」
隣に来た義姉が言う。
そうだね、そうなんだけど、私には荷が重いんじゃないかな?と心の中で呟く。
「気持ちは分かるけどさぁ、これはみんなの為なんだよ?」
後ろから同い年の義妹の声がする。
そうだよね。私はこの中で二番目に歳上なんだから、頑張らないといけない。
「悪いが、そろそろいいか?時間が迫ってきている」
軍服を着たおじさん……北山少佐が急かす。おそらく敵が接近しているという事だろう。
迫る時間の中、義姉と義妹が少佐に詰め寄り言う。
「北山少佐、援護の件、検討していただけましたか?」
「ボク達だって命懸けなんだ。君らも命を天秤にかけるぐらいしてもらわないと釣り合わないよネ?」
「作戦通り、としか言えない。しかし、私たちは君らを命懸けで援護するつもりだ。私たちが送ることの出来る情報などたかが知れてる事は承知の上だろうが、命ある限り諦めはしないさ」
ハッキリと言う少佐。嘘をついているようにも見えなかった。
義姉と義妹は答えを聞いて安心したのか、各々の所持品を持って配置に着いた。
私も鼓動を押え、妹の手を引き配置に着く。
「それでは、ここに白井少女部隊の任務開始を宣言する。若輩である君たちに、地球の未来を託すというのは我々としても心苦しい。しかし、その力を十二分に発揮し、未来を救えるのは君たちだけだ………心して、望むように」
「「「はい」」」
返事とともに、義妹と義姉が扉に入ると同時に消えていった。
心は依然落ち着かない。しかし、やらねばならない。後戻りは出来ない、という気持ちを押し殺し、私も一歩踏み出そうと前を向く。
と、その時だった。後ろから錆びた声が聞こえる。
「すまない……すまない……我々が不甲斐ないばかりに」
振り返ることはしなかった。振り返れば、今踏み出している意味を忘れてしまう……いや、思い出してしまうから。
「お姉ちゃん、早く行こう」
先に行った二人に追いつきたいのか、妹に急かされた。私は左手に持っていたソレをぐっと飲み込み、動悸を落ち着かせる。
「……うん、行こうか」
再び踏み出した。
この先、地獄であると知りながら。