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ポスト・カラミティ  作者: 壊れた炊飯器
チャプター1: destination unknown
5/10

緋色のAves

「………」


「………それで、えーと、キミは……」


とりあえずは同じく箱に入っていた服を着せ、ブーツを履かせたものの、少女は一言も喋らない。

というかこれ服が気に入らないんじゃないのか、だいぶ()()が凄い上にノースリーブなピッチリスーツとか……着せられたら誰だって、俺だって嫌だよこれ。


流石にこれだけだと、と思ったので古着のジャケットを被せたけれども、大分ブカブカだし袖は捲ってるし。


というか比べるのもあれなんだが……()()()()、ものすごく。

銀色の長髪に青い瞳、形のいいおとがいと、『人形のような美貌』って表現が似合う子だ。

もっとも、俺にとってはとてつもなく見覚えのある容姿なんだが……身長と体型も含めて。


(流石にコミュニケーションの難度が高くないか……?)


「……ひとつ、きいても……いい?」


「! ……何を聞きたいんだ?」


ようやく彼女が喋りだし、驚きつつも返答する。


しかし、その『質問』は、俺の想定を大きく上回るものであった。



「えっと、あなた……『お兄ちゃん』、だよね?」




「……………はァ!?」







「お兄ちゃん……」


「俺はお兄ちゃんじゃない」


薄暗い遺跡を、二人で歩いていく。


ある程度歩調を落としているとはいえ、華奢な彼女は俺の後ろにぴたりとついて歩き。

先ほどから、かれこれ10回以上はこのやり取りを繰り返していた。


「そもそも、なんだってお兄ちゃんなんだ」


「……? お兄ちゃんはお兄ちゃん、だよ……? わたしのこと、おぼえてない?」


「残念ながら初対面だ」


これに関しては事実だった。

確かに俺には幼少期、具体的に言うと8歳くらいまでの記憶がないが……こんな美少女が突然出てきて、しかもオニイチャン?


……ないな、絶対に。

というか似てない、絶望的に。

俺の白髪は後天的なものだし、そもそもこの子は銀髪だし。

容姿だってとても血が繋がってるとは思えない、いや義理のあれそれとかの可能性もあるのか?


そんなこんなで、遺跡を出たら孤児院なりに預けるかと考え、出口を目指していたのだが……


「………っ?」


何か、背筋にちりちりとした感覚。

それ自体は何度か体感したことのあるものであり、それを感じた時は限って───


ねつげんはんのう(熱源反応)……下だよ!」


少女の声に従い、咄嗟に防御体勢をとったその直後。




遺跡の床が()け、視界が赤く染まった。





「おい、………! …… 大丈夫か!?」


赤い閃光によって空いた大穴を落下しながら、名前を呼ぼうとして……彼女の名を知らないことに気づく。


視界に少女の姿はなく、けれど返答を期待して、もう一度息を吸い込み……


「大丈夫!」


「うおっ!?」


声のした方向を見れば、なにやら巨大な『腕』に乗る少女。

肩から指先だけで彼女の身長──だいたい150センチくらいか?──ほどもあり、赤と黒で彩られたそれも気にはなったが、ひとまずは胸を撫で下ろす。


そして、自由落下の先にたどり着き、俺たちが目にしたものは……


先ほどのガーディアンと戦った部屋とはまた違う、異質さを感じさせる空間。

黒鉄の柱に囲まれ、床は円形に半透明の素材が張られており、その下のパイプが集中する中心部から青白い光が漏れる。


闘技場じみた広間、その中心を挟んで佇むのは───



『……………』



緋色の装甲。

翼の如く大きく張り出した肩と、長い腕。

デカさは俺と同じくらい、2mはあるか?

それに加えて、鳥を思わせる逆関節の脚………。


一目で有人ではないとわかる、異質な人形だった。


「あの機体は……」


記憶領域(データベース)を参照……第1技研製の自律兵器、アーヴェス………タイプ、ソル!」


「アイツが、さっきの攻撃を?」


「えっと、たぶん───っ、来るよ!」


声に導かれ、弾かれたように武装を構えた、その直後。



その両腕からレーザーブレードを発振させ、紅の天使が突進してきた。

フィールドはAC2AAの未踏査地区調査、アーヴェスくんは...赤いデスキュベレイをイメージしてもらえると

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